マンションは一戸建てと違い、リフォームができる範囲が限られます。
そのため、リフォームができる・できない部分を確認したうえで計画を進めないと、
「窓サッシを勝手に取り替えてはいけないことを知らなかった」
「管理組合に確認をとっていなかったためトラブルになった」
など、トラブルやクレームの原因になりかねません。
マンションリフォームの注意点やできること・できないことについて、紹介しています。
トラブルやクレームがないようスムーズにリフォーム工事を進められますので、ぜひ参考にしてください。
1.快適なマンションリフォームにするために
満足のいくマンションリフォームをするためには、マンションリフォームに慣れている業者を選ぶ必要があります。
また、事前にマンションの現況やリフォームの希望をまとめておくことが大事です。
ここでは、マンションリフォームを成功させるために大切な業者選びやリフォーム前の準備について見ていきましょう。
1-1.マンションリフォームに強い業者を選ぶ
マンションリフォームをおこなう場合は、マンションリフォーム特有の事情や進め方を把握して慣れている業者を選ぶようにしましょう。
なぜなら、マンションの場合、在来工法とは違うリフォームのノウハウが必要ですし、管理組合に届けたうえで工事を開始するという特有の決まりがあるためです。
マンションリフォームに慣れていない業者を選ぶと、思わぬトラブルが起きてしまうこともあります。
業者と打ち合わせをする前に、マンションリフォームの経験があるか、ノウハウがあるかなどを確認するようにしてください。
1-2.一般的なマンションリフォームの流れ
- 管理規約を確認(場合によっては管理組合に確認)
- マンションリフォームに慣れた業者を選ぶ
- ラフプランの依頼
- 管理組合に届け出る
- リフォーム工事開始
また、業者とスムーズに打ち合わせするために、リフォームでどこをどのように直して変更したいのか事前に整理しておきましょう。
そのためにも、以下のマンション現況については把握しておくようにしてください。
- 建築年数(築年数)
- 工法
- 図面の有無
- 部屋の広さ
- リフォーム部分
- 給水(メーターの口径)
- 電気(電気容量、回路数など)
- ガス(メーター号数)
- 熱源機(ガス給湯器、電気温水器)
- 空調(個別式、セントラル式)
1-3.住まいが必要な場合は早めに手配する
マンションリフォームにあたり、仮住まいが必要となる場合は、早めに手配するようにしましょう。
手配がギリギリになると、仮住まいの費用も高くなりますし、希望日数の確保ができない可能性もあります。
また、仮住まいだけでなく、荷物を一時的に避難するためのトランクルームなども同様です。どちらも、前もって確保することでコストも安く抑えられます。
1-4.マンションの管理規約上、できる・できないリフォームについて
一戸建てと違い、マンションは多くの人が居住する集合住宅なので、マンションごとに管理規約が設けられています。
そして、管理規約上、リフォームができる部分やできない部分があるので、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。ここをおろそかにすると、あとでトラブルになり、マンションに居づらくなる可能性もあるため十分気をつけてください。
ここでは、管理規約上でリフォームができる・できない部分、管理組合に確認をとる重要性などについて見ていきましょう。
2.マンションリフォームができる専有部分と、リフォームできない共用部分
マンションには「専有部分」と「共用部分」があります。
リフォームができるのは、各住戸の室内は専有部分なためリフォームが可能ですが、バルコニーや窓ガラスなどの共用部分はリフォームができません。
主な専有部分
- 室内の壁や床
- 天井の仕上げ部分
主な共用部分
- バルコニー
- ルーフバルコニー
- 玄関ドア
- インターホン
- 専用庭
- パイプスペース
- 窓ガラス
- 目隠しルーバー
- コンクリート界壁
3.リフォーム工事は管理組合に確認しながら進める
管理規約には、専用部分や共用部分について明記してありますが、リフォームを考慮して作られた管理規約は少ないため、規約が実情に合わないケースも珍しくありません。
そのため、リフォーム工事についてマンションの管理組合で検討され、決定したうえで進めていく必要があります。
リフォーム工事が、マンションの構造上問題なく、他の住人が不都合に感じないような内容であれば管理組合が許可するケースがほとんどです。

という場合は、あとでトラブルにならないためにも、管理組合に工事内容を確認したうえで、計画を進めるようにしてください。
4.管理規約とはマンション内の法律のようなもの
管理規約や、マンションの決まりごとであり、法律のようなものです。
管理規約を守らず、管理組合の許可も得ずにリフォームをして裁判になったケースもあるため、規約は絶対に守りましょう。
だからこそ、リフォームする際は、規約の確認や管理組合の許可を得て進める必要があります。
5.インテリアプランナーとインテリアコーディネーターの違い
マンションリフォームにあたり、インテリアプランナーやインテリアコーディネーターを利用する人もいますし、利用を勧める業者もあります。
インテリアプランナーとインテリアコーディネーターは名前が似ているため、同じ職種と思っている人もいますが、実は違います。
資格や認定機関も異なりますし、仕事内容も違ってきます。
インテリアプランナー
- 財団法人建築技術教育普及センターが認定している資格
- 受験資格は20歳以上
- インテリア企画や設計、工事監理などについてアドバイスできる
- 依頼主のニーズを把握して室内装備や内装、家具などを選び空間を提案する
- インテリアコーディネートからステップアップとして目指す人が多い
インテリアコーディネーター
- 社団法人インテリア産業協会が認定している資格
- 受験資格に年齢制限なし
- 内装材や家具、照明、配色など要望を聞き快適な空間をつくる
- 見積もり、企画、提案など幅広い相談にのってくれる
インテリアプランナーとインテリアコーディネーターの違いを理解したうえで、利用を検討するようにしましょう。
ただし、コストがかかりますので、自分でインテリア雑誌を見て家具やインテリアの選定・配置決めをする方がおすすめです。
マンションの構造上、できる・できないリフォームについて
マンションリフォームは、規約上の問題だけでなく、構造上の問題によっても、リフォーム工事のできる・できないが分かれます。
どのような構造であればリフォームができ、どんな構造だと難しいのか事前に把握をしておきましょう。
6-1ラーメン構造と壁式構造
マンションリフォームは共有部分で工事はできませんが、間取り変更はかなり自由にできます。
水まわりのブロック壁についても撤去して間取りを広くすることが可能です。
マンションには、ラーメン構造と壁式構造の建物があり、建物がどちらの構造かによって、マンションのつくりやリフォーム範囲が変わってきます。
それぞれの構造の特徴は以下のとおりです。
6-2.ラーメン構造のマンション
ラーメン構造のマンションは、柱と梁が室内に出っ張っているタイプです。
柱と梁は建物を支えるものなので、これらを取り除くことはできません。
ただし、コンクリート以外でつくられているブロックや木造の間仕切り壁については取り壊しが可能です。
間仕切り壁を取り壊せば中央に梁が残る場合があります。
その際は、ネガティブに考えずポジティブに考え、照明を設けるなどして梁を有効活用するようにしましょう。
6-3.壁式構造のマンション
室内に柱と梁が出っ張っているラーメン構造に対して、壁式構造は柱と梁の出っ張りがないタイプです。
「壁式」というように、壁の厚さで建物を支えているため、壁に穴を開けたり、取り壊すようなリフォーム工事はできません。
面積が広い部屋については、部屋の中央部分にコンクリートの補強壁を設けていることがあります。
周辺の壁同様、中央の補強壁も耐震性・耐久性を高める重要な壁ですので、基本的には穴開けや取り壊しをしてはいけません。
7.壁に穴を開けてリフォームできる可能性もある
前述の通り、マンションを支えるコンクリートの壁には、基本的に穴を開けることはできません。
しかし、管理組合の合意を得て、既存の壁にある穴を大きくしたり、強度上問題がないと判断されて穴を開けた事例もあります。
マンションリフォーム工事をする際は、管理規約の内容を確認して管理組合の許可を得たうえで進めていくのが一般的な流れです。
そのため、基本的にはNGと言われることが多いリフォーム内容であっても、そのマンションの管理組合が許可を出せば工事ができます。
壁に穴を開けることも100%ダメということではありませんので、どうしてもコンクリートの壁に穴を開けたい場合は、管理組合に確認するようにしましょう。
8.よくあるマンションリフォームのできること・できないこと
ここでは、キッチンのレイアウト変更や床暖房への変更、ユニットバスの交換など、よく出る希望のリフォーム内容について、できる・できないを紹介しています。
一戸建てとマンションではリフォーム可能範囲が違いますので、覚えておきましょう。
8-1.キッチンのレイアウト変更はできる?
キッチンをリフォームしたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
キッチンの調理台やガス台のレイアウト変更可能です。
ただし、シンクやガス台の移動は排気ダクトや排水勾配の問題もあるため、なるべく現在位置の近くで検討する必要があります。
8-2.床暖房への変更はできる?

そんな方も安心です。リビングの床を通常のフローリングから、床暖房へ変更するリフォーム工事はできます。
ただし、床下に床暖房の設備を設置するため、床が若干高くなり、ドアの調整が必要になってきます。
床暖房には、給湯器やボイラー・配管が必要な温水式や電気容量の確認が必要な電気式があるため、事前に決めておくといいでしょう。
8-3.給湯器はベランダに置ける?
基本的に給湯器をベランダに置くことはできません。
ベランダは共用部分であり、強度上の問題や外観上の問題があるため、管理組合の許可が必要です。
もし、管理組合の許可が出れば置くことはできます。
8-4.じゅうたんからフローリングへ変更できる?
マンションによっては始めから床がじゅうたんの場合があります。
もし、じゅうたんをフローリングに変更したい場合は、管理組合の許可が出ないとできません。
なぜなら、じゅうたんからフローリングにすることで、防音性能が落ちる可能性があるためです。
マンションは、上下階の騒音による苦情が多いため、管理組合からNG出る恐れもあります。
8-5.窓サッシは取り替えできる?
窓サッシは共用部分になるため、基本的に、取り替え・リフォームはできません。
ただし、管理組合の許可を得られれば、取り替えも可能です。
希望のリフォーム内容で工事ができるか、管理組合に確認してみましょう。
8-6.ユニットバスは交換できる?
ある程度、築年数が経てばユニットバスの交換も必要になってきます。
マンションリフォームではユニットバスの交換も可能です。浴室リフォームは、多くのマンションでおこなわれるため、特段問題はありません。
ユニットバスを注文する場合は、ドアなどの開口部の寸法を測ったうえで注文をしましょう。
あらためて、この記事の大事な点を紹介すると、以下の4点が挙げられます。
- マンションリフォームに慣れていてノウハウのある業者に依頼する
- 管理規約や管理組合の確認をとり計画を進めることが大事
- 専有部分はリフォームできるが共用部分はリフォームできない
- ラーメン構造か壁式構造かによってもリフォームできる・できないが違う
後々、トラブルやクレーム事にならないように、この記事を参考にして、マンションリフォームの内容や業者決めをおこない、計画を進めていってください。
私の体験談

マンションでリフォームやリノベーションで行うときには、基本的には一時的に部屋を借りて移り住んでいただいて、その期間に手早く工事を終わらせてしまうようにします。
お客様のご要望で、お客様が住みながらのリフォームをご提案したことがあるのですが、互いに居心地が悪いものですし、施主の方も、これほどの騒音出して平気なのかと他の部屋への影響が気になっている様子でした。
そして一度に出来るリフォーム工事が、一部屋一部屋になるため効率が悪く工期が長くなってしまいがちです。
そうすると結局は家を空けていれば10日ほどで終わる工事が、一か月以上かかることもあります。
結局は部屋を借りた方が、総合的なコストが安く済んだということもあるのです。
ウィークリーマンションやマンスリーマンションなどを利用していただき、リフォームを行う際は家を一度開ける方が良いと言えるでしょう。