業者から提案される見積書を額面通りに受けていては、適切な価格でリフォームできない可能性があります。
なぜなら、一式見積もりのように詳細が記載されていない見積書もありますし、業者が

と故意に金額を上乗せしていることもあるためです。
業者の見積書を詳細や見方、チェックポイントなどを知らないと、自分が損をしてしまいます。
そこで今回は、一式見積もりや詳細見積もりの特徴や注意点、見積書のチェックポイントなどについて紹介しています。
1.リフォーム・増改築見積もりには「一式」と「詳細」の2つのスタイルがある
リフォーム店や工務店が提出する見積書は、「一式見積もり」と「詳細見積もり」の大きく2つに分けられます。
それぞれの内容は以下のとおりです。
1-1.リフォーム・増改築一式見積もり
一式見積もりとは、その名の通り、工事の費用が「〜一式●●円」と記載されている見積もりのことです。
一式見積もりは、以下のように表記されているため、各工事について総額いくらかかるのかがひと目で把握できます。
- 床工事一式◯◯円
- 天井工事一式◯◯円
- 解体工事費一式◯◯円
- 壁工事一式◯◯円
各工事の費用はひと目で確認できますが、
どんな材料をどれくらい使ったか?
職人の人件費はいくらぐらいか?
材料の単価はどれくらいか?
などを把握することはできません。
1-2.詳細見積もり
詳細見積もりとは、金額の結論を記載する一式見積もりとは違い、各材料や工事費用の内訳まで記載された見積もりのことです。
詳細見積もりでは、「壁工事●●㎡、使用する材料・価格」のように、工事面積や使用する材料、単価が記載されているため、各費用の細かい内訳を把握できます。
しかし、細かい表記のため大枠を把握するのに時間がかかり、一般の人では混乱してしまう場合もあります。
1-3.リフォーム一式見積もりの注意点
業者から提出された見積もりが一式見積もりの場合は、以下の3つの注意点に気をつけましょう。
一式見積もり特有の「一式」表記の中身を解明していくことが大事です。
1-4.一式見積もりは中身を疑うこと
リフォーム店や工務店に見積もりを依頼して、提案されたのが一式見積もりの場合は、中身について疑い、説明を求めることが大事です。
そもそも、「●●工事費一式◯◯円」と記載された見積もりを見て、
「何にいくらかかっているのか?」
「もっと安くならないのか?」
「この金額は適正なのか?」
と疑問を持つのはあたりまえのことと言えます。
しかし、リフォーム費用になると、一式見積もりの金額を鵜呑みにしてチェックしない人が少なくありません。
これが、リフォーム費用ではなく食料品や日用品など、普段接する機会が多いものであれば、「野菜一式◯◯円」「お肉一式◯◯円」と表記されているのを見て
「もっと安いのがあるのではないか?」
「人参は1本いくらのが何本入っているのか?」
「牛肉はどの部位が何グラム入っているのか?」
と気になって調べたり、店員さんに聞く人は多いのではないでしょうか。
一式見積もりの中身は、疑って見ることが大事です。
1-5.一式見積もりの詳細について文書で確認すること
一式見積もりの金額には、強い根拠がないことが少なくありません。
なぜなら、大抵の場合はリフォーム店や工務店のこれまでの経験から推測した「これぐらいの金額だろう」という腹見積もりだからです。
一式見積もりを提出されたら、営業マンに詳細を聞いてみてもいいでしょう。
恐らく、詳細まで的確に答えられる営業マンはほとんどいません。
そもそも、リフォーム工事の内容を理解できていない営業マンが多いからです。
一式見積もりは、内容が不明瞭なので、業者によっては自分たちのミスにもかかわらず、

という理由で追加費用を請求するケースもあります。
依頼主としては、元々詳細が把握できない部分が多いため、不信感を抱きトラブルになるケースも少なくありません。
工事開始前に、一式見積もりの内容を必ずチェックするようにしましょう。
そして、業者に一式見積もりの内容を確認する際は、後のトラブルを避けるために、口頭ではなく形に残る文書等で確認するようにしてください。
1-6.万円単位で千円以下は切り捨て
一般的に、一式見積もりに記載されている金額は万円単位になっています。
千円以下の単位は切り捨てられていることが多いため、実際の工事代金とは開きが出ることが多いです。
なかには、千円単位をすべて繰り上げしている業者もあります。
このように、一式見積もりには、さまざまな注意点があります。
図面で計算できない部分をすべて一式表示にしており、使っている材料や単価がどれくらいか明らかにされていません。
業者の希望の金額を見積もりとして記載しているだけのケースもあるため、しっかりと疑問を持ち詳細を確認するようにしましょう。
2.リフォーム詳細見積もりの注意点
一式見積もりだけでなく、単価や数量など記載された詳細見積もりにも気をつけなければなりません。
注意点を知らないままだと、詳細見積もりの内容を鵜呑みにしてしまう可能性があります。
ここでは、詳細見積もりをチェックする際の3つの注意点について見ていきましょう。
2-1.「見積もりが細かいから正しい」は危険
詳細見積もりは、合計金額だけを記載する一式見積もりとは違い、材料の単価や数量など細かい内容も記載されています。
一見すると、細かい内容まで記されている親切な見積書となっているため
「内容が細かいから大丈夫だろう」
と安心しがちです。
しかし、細かい見積もりにすれば、依頼主が安心することを逆手にとる業者もあるので注意しなければなりません。
2-2.二重に費用を請求している場合もある
詳細見積もりは項目が多くなるため、不要な項目を載せたり、単価や材料数を上乗せする悪徳な業者もあります。
また、浴室とトイレが隣り合っている場合、それぞれリフォームする際に、二重に費用を請求するケースもあるため注意が必要です。
見積もりには、浴室壁解体工事とトイレの壁解体工事の記載があり、どちらも同じ壁の面積分を含めていることがあります。
一般の人では、二重請求に気付くことは非常に難しいものです。
2-3.一括見積もりに記載されている職人が作業しているとも限らない
見積もりには、電気配線や水道管、排水管工事などの詳細が記載されていても、実際に電気職人や水道工事の職人が来て作業をしているかはわかりません。
見積もりでは、職人が来ることになっていて高い手間賃が計上されているのに、実際の現場では人件費の安い人が工事しているケースもあります。
このように、高い人件費を請求し、実際には安い人件費で済ませることで業者が利益を得ているケースもあるのです。
このように、詳細が記載されているからといって、信用できるものとは限らないことを理解しておきましょう。
3.わかりづらい専門用語がたくさん
リフォームの見積もりを取ったことがある人はわかると思いますが、見積書を見ても、普段見慣れない言葉がたくさん並んでいるため、内容がなかなか頭に入ってきません。
たとえば、備考欄や単価欄には「材工」という言葉が頻繁に登場します。材工とは、1つの工事にかかる材料費と人件費を合わせた費用のことです。
そのため、材工の費用なのか材だけの費用なのかで価格に大きな差が生じます。
言葉の意味をしっかりと理解しておくことが大事です。
3-1.業者が把握できてない場合もある
たとえば、材工㎡は、1㎡あたりの材料費と1㎡あたりの職人の人件費がいくらなのかを算出したうえで金額が決まるべきですが、材工単価の内容を把握できていない業者は少なくありません。
これは、業者が下請けに見積もりを依頼しても材工価格で提出されることが理由です。
しかし、そもそも業者が見積もりの細かい内容まで把握できていないのは問題ですので、疑問があればとことん説明を求めるようにしましょう。
3-2.見積書を見る際の大事なチェックポイント
適切な価格でリフォームをするためにも、見積書は以下9つのポイントに気をつけてチェックするようにしましょう。
3-3.作成年月日や押印
業者から見積書を受け取ったら、作成年月日や押印を確認するようにしましょう。
見積書は何度も修正依頼を出し、その都度新しい見積書をもらう可能性があります。
一見、大きな違いがないため、取り違えてしまうこともあるので、その都度作成年月日は確認するようにしてください。
また、見積書に会社の押印があるかもチェックするようにしましょう。
押印がある=会社の正式な書類と判断できます。
後々、トラブルになった場合のことも考えて、会社の発行した正式な見積書であることが大事です。
押印がない場合は、すぐに担当者へ連絡をしましょう。
3-4.リフォーム・増改築の見積書は図面と合わせてチェックする
見積書を見る際のポイントの1つが、図面と合わせてチェックすることです。
業者から見積書がもらったら、図面と照合をしましょう。
図面を見て、リフォームの工事内容や工事範囲がすべて見積書に反映されているかをチェックします。
部屋の部分的補修など、細かい工事の費用が反映されていない場合もあるためです。
本工事や解体工事など分かれて記載されていますが、どうしてもわからない場合は遠慮なく担当者に聞くようにしましょう。
後々、

という事態を防げます。
3-5.詳細まで記載されているか
見積書が届いたら、
「一式表記ばかりになっていないか?」
「詳細まで記載されているか?」
を必ず確認しましょう。
「床工事一式◯◯円」「壁工事一式◯◯」など、一式見積もりでは、材料の単価や数量、人件費など細かい内容が不明確です。
「●●の工事が見積もりに入っていなかった」
「後で材料費を調べたら、工事費が異常に高かった」
など、詳細が把握できないことで、後にトラブルになる可能性もあります。
もし、業者の見積書が一式見積もりだった場合は、一式の内容について細かく確認するようにしてください。
詳細まで把握することで、トラブルを防げるだけでなく、適正価格でリフォームができるようになります。
3-6.部材や材料は適切な量なのか
見積書に詳細が記載されてあったとしても、本当に部材や材料の量は適切なのかチェックすることが大事です。
リフォーム工事の内容を踏まえたうえで、量が多いと感じたら、担当者に確認をしましょう。
なかには、故意に数量を多くして儲けを増やそうとする業者もあるためです。
適切な価格でリフォームをするためにも、複数社から見積もりを取り比較するなどして、部材や材料が適切な量か必ず確認してください。
3-7.設備や部材の商品名・型番はあるか
見積書に、使用する設備や部材の商品名や型番が記載されているか必ずチェックするようにしましょう。
商品名や型番がない場合は、見積もりの金額の根拠が乏しく実際の金額と大きな開きができる可能性があるため、担当者にすぐに確認してください。
また、商品名・型番がある場合も間違いがないか確認するようにしましょう。
3-8.取り合い工事が見積もりに入っているか
リフォームをする際、必要となってくるのが取り合いです。
2つ以上の部材が接合する部分では、どちらの部分を優先するか決めなくてはなりません。
これを取り合いと呼びます。取り合いがないと、みっともない出来栄えになってしまいます。
取り合いが上手くいき接合をしっかりとするためにも、見積もりに入っているかどうかチェックをしましょう。
3-9.別途工事の内容や金額
見積書には、別途工事についても記載があります。
別途工事には、外部給排水工事やガス会社による工事、外溝工事、インテリアや設備の設置工事などがあり、これらの工事内容や金額を事前に確認しておかないと、後々大変なことになってしまいます。
事前に把握しておかないと、資金計画がズレて予算オーバーになってしまいますので、しっかりと見積書に目を通して確認をしましょう。
3-10.合計金額はあっているか
見積書の合計金額があっているかどうかも必ずチェックするようにしましょう。
普通に考えて間違ってはいけないところですが、間違いがないとも言い切れません。
仮に間違いががあり、違う金額で認識をしていたら大変です。
電卓を使ってしっかりと確認しましょう。
3-11.もしも予算オーバーした場合はすぐに相談
見積書の金額が、当初予定していた予算をオーバーしてしまう場合は、すぐに担当者に相談をしましょう。
いくらぐらい予算オーバーをしているか伝えれば、以下のようにいろいろな解決策を考えてくれるはずです。
- 仕上材のグレードを落とし節約する
- 当初予定していた設備を別の型へ変更する
- リフォームの工事範囲を縮小する
いくらぐらい予算オーバーしているかにもよりますが、業者にはたくさんのノウハウがあるため、1人で抱え込むのではなく、すぐに業者を頼りましょう。
今回は、一式見積もりや詳細見積もりの特徴や注意点、見積書のチェックポイントなどについて紹介いたしました。
最後に大事な点をあらためて紹介すると、以下の4点が挙げられます。
- 見積書には一式見積もりと詳細見積もりがある
- 一式見積もりは「〜工事一式●●円」表記で内容が不明瞭なので詳細確認する必要がある
- 詳細見積もりは詳細まで載っているが正しいとは限らない
- どちらの見積もりでも内容に疑問を持ち確認していくことが大事
この記事を参考にして、適切な価格でリフォームを成功させましょう。
私の体験談
私の聞いた話でも、リフォーム・増改築施工の見積書に関するトラブルは非常に多いです。
まずどんな工事を行うのか、その詳細が書いていない見積書だけだと、後の決済の段階で言った言わないの話にもなりますし、追加工事を行うと、その費用がどの程度かという点でもめることも多いのです。
せっかく気持ちよくリフォームが終わったのに、そんなことでトラブルを起こしたくはないですよね。
追加工事は工事をしている時に、何気ない会話の中で追加の工程を急に盛り込んで、細かい費用について話していないだけにそこで利益を稼ぎ出そうとする業者もいます。
ベランダを設置していて、そこの日除けの大きさを少し変えただけで20万円も値段が変わってしまったというお話も聞いたことがあります。
リフォーム工事の相場観というのは、なかなかお客様も持っていないことが多いです。
それだけに、追加費用を無料サービスのような口ぶりで

と言ってくる業者もいますが、無料サービスということは絶対にないので、必ず追加工事の見積も請求するようにしましょう。