戸建てやマンションリフォームの事例をご紹介

少なくとも実際にリフォームをした人々の例を見ると、最初にリフォームの相談から始まり、それに合わせた提案、そしてお互いに工事の内容も予算も納得したところで工事のGOサインという流れでリフォームが始まっています。
実際のリフォームの流れをいくつかご紹介します。
ケース① :横浜市港北区(一戸建)
家族それぞれの夕食時間が違う家庭のダイニングキッチンを実現した部分リフォーム
家族の夕食と来客が混在する悩み
広々として豊かで贅沢なのに、なぜリフォームが必要なのだろうと、この邸宅の図面を見た瞬間に感じました。
Aご夫人の話によると、リビングダイニングルームは広いのに、なぜだかわからないけれど雰囲気が暗いというのです。
そして、さまざまな話を聞いているうちに、 この方の家のプランで改造しなければならない点がいくつか分かってきました。
まずリビングダイニングルームは、お客様を迎える客室としての要素も持っています。それをベースに考えなければなりません。
しかし、ダイニングテーブルがいつまでも片付かないことが多いという問題点が浮かび上がりました。
このご家庭は、夫婦と子ども2人の4人家族。大学生とキャリアウーマンである2人の子どもは、夜遅く帰宅して食事をする場合が多く、夜半を過ぎるとダイニングテーブルの上を片付けないまま夫人も寝てしまうことが多いそうです。
一方、海外生活の経験があるご主人は、お客様を家に招くのが好きで、その際にリビングルームを使うのです。
キッチンスペースを広くしたリフォームでダイニングを移動
そこで考えたのが、ダイニングスペースで夕食時間をバラバラにとっても、来客をリビングルームに通してさしつかえないよう、キッチンスペースにダイニングスペースを取り、ダイニングキッチンを独立させるプランです。
そのためには、キッチンスペースを広くする必要があります。今まで納戸だった所をキッチンスペースに変更する必要が出てきました。
まず、納戸の中の物の整理からリフォーム計画がスタートしました。
キッチンスペースにダイニングキッチンと主婦コーナー、それに洗濯室も加えた、ひとつの大きな空間に変えました。従来からあるダイニングスペースはそのままにして、お客様に食事をサービスするときや、たまに家族全員がそろって食事をする時に、そのダイニングスペースを使うことにしました。
もともとリビングダイニングルームは広々として、スライディングドアで間仕切りできるつくりでしたが、実際にはほとんど仕切ることがありませんでした。
ライフスタイルに合わせた家のリフォームが家庭内の雰囲気も明るくした
キッチンを日常使いのダイニングキッチンにしてしまったので、リビングとダイニングを仕切る必要がなくなりました。
そのため、スライディングドアのために設置された天井のレールや柱を、リビングダイニングルームから取り外しました。また、何か暗いというイメージを取り払うために、奥の壁と窓側の壁に、大きな鏡を取り付けました。
するとリビングダイニングルーム全体が、見違えるほど明るい雰囲気になったのです。
ポイント
このリフォーム計画は、家族が大人ばかりになり、ライフスタイルが変化したことをきっかけに、暮らしやすさを追求した結果、生み出されたリフォームプランといえます。リフォームをすることで家族の交流ができる機会も増えていくのです。
ケース②:東京都渋谷区(集合住宅)
マンションの弱点 防音と狭さの悩みをリフォームで一挙解決
防音効果を必要とするリフォーム
このお家は、ご主人が指揮者でご夫人がソプラノ歌手という、特別な仕様を必要とする住まいです。ご夫人がお弟子さんとレッスンをするスペースには、防音装置が必須条件です。
現在住んでいるマンションの部屋に防音装置を追加できるか、集合住宅の狭いスペースにグランドピアノを置くことができるかなど、最初から大きな課題のあるリフォーム計画のご相談でした。
ご夫人の話によれば、入居後すぐに防音を考慮したリフォームをしたけれど、全く効果がなかったそうです。
ポイント
そのため、まずは防音以前に、グランドピアノが置けるスペースを少しでも広く確保することを考えるようにしました。
その結果、キッチンをアコーディオンカーテンで隠せるようにして、リビングダイニングルームと窓側の和室は、ひとつながりのワンルームにしました。
その部屋を、音楽室兼客室としたのです。そこには全て本格的な防音設備を施すことにしました。
開口部のサッシはダブルサッシに変え、防音材は天井・床・壁ともに、100 mm の厚さを使用。いわば魔法瓶の中身のような部屋になったのです。
しかし、柱や壁が床に直接接していると、どんなに防音材を入れても、接触している部分から音が伝わってしまうことが、テストで判明しました。
防音材を床から浮かせて設置するなど、様々な苦労をして試行錯誤した結果、ステージで歌うかのような大きな声を出しても、外には全く聞こえない防音装置になりました。
優先順位をつけて効果的な住宅リフォームを
ポイント
マンションやアパートなどの集合住宅のリフォームでは、限られたスペースをどう使うかが重要な問題となります。
狭いスペースを有効活用するために、暮らしの上で何を優先するのか、優先順位をしっかり決めてリフォームプランを考えることが大切です。
また、いくつも中途半端なサイズのスペースを作るのではなく、広い所を中心に、思い切ってメリハリのある空間づくりをすると、家全体が広々とした雰囲気になります。
家具などの持ち物は必要最小限に減らし、物を整理して必要なものだけで暮らす習慣をつけることも大切です。例えば収納家具などは、全て造り付けの家具にしてしまうのも、狭いスペースの有効活用には効果的な方法のひとつです。その上、家具のデザインはシンプルにするのがおすすめです。
ケース③:東京都杉並区 (一戸建)
キッチンを独立させてリビングスペースを活用する
プライベート空間が来客に見える悩み
新築してまだ6年しか経っていない、リフォームをするには早すぎる家です。しかし奥様はリフォームを検討。
間取りは、玄関を入り廊下を進んだ先に格子の引き戸があり、引き戸を開けるとリビングとダイニング、そしてキッチンがワンルームになったスペースに入ることになります。
そのワンルームを横切ると、二方向が窓で庭が眺められる、床の間付きの畳の和室が続いています。
この和室は来客用の客間です。 奥様の悩みはこの客間にありました。
お客様を案内する上で、家の中で最もプライベートなスペースであるキッチンとダイニングルームを通らなければならないのです。
主婦にとって、来客にキッチンが見える場合は、常に掃除をしておかなければなりません。食事をするためのダイニングスペースも同様です。
来客がある時でも、家族の中で先に食事をしなければならない場合があります。その食事をしているところを他人に見られるのは落ち着かないし、お客様も気を遣ってしまうでしょう。
築6年 建て替えよりリフォームで暮らしを改善
とはいえ、新築6年では建て替えをするわけにはいきません。
Nご夫人の話によると、家の設計をしたのは親戚であり、一級建築士の資格を取得したての若い男性でした。親戚だから住み手の要望を聞いてくれるだろうと安心していたのが、間違いのきっかけ。
親戚ゆえに、設計をする側の男性も甘えてしまい、自分の思うように設計してしまった点があるようです。
建て替えはできないため、リフォームでどうにか現在の悩みを解決したいということを目的に、リフォームのプランを考えることになりました。
第1回目のリフォーム提案まず、 LDK を横切らず直接和室へ行けるよう、玄関から和室まで廊下を作りました。リビングスペースにはダイニングセットを置いていましたが、第1回目の提案ではそのままにしました。
そして、お客様がこの部屋に入ってきてもキッチンが簡単に見えないよう、目隠しの役割をする収納壁を作りました。
第2回目のリフォーム提案
キッチンに収納壁を作って仕切ることで、キッチンの内部はかなり広くまとめることができきました。ダイニングセットもきちんと置けることが分かりました。
そのため、リビングスペースに置いていたダイニングセットは、キッチンの内部に移動することに。
今までリビングスペースをリビングとして使わず、来客のない時は和室をリビングスペースとして使っていたのです。
しかし、ダイニングスペースをキッチンの内部に置くことで、リビングスペースは本来のリビングとして活用することができるようになります。
そこで、リビングスペースの壁面には、少し寝そべられるぐらいの、幅2m のソファを置くことにしました。そして、センターテーブルも追加するプランを提案しました。
第3回目のリフォーム提案
キッチンを仕切った収納壁は、キッチン側はダイニングテーブルの甲板より上部を食器戸棚として使い、リビングスペース側は、セット側とは逆にテーブルの甲板より下の部分を収納スペースとしました。
この収納壁をキッチンの中央に配置し、左右均等に60cmずつ出入り口を作り、その天井にはロールスクリーンを設置しました。
ポイント
来客時はロールスクリーンを下まで下げてしまうと、キッチンが全く見えなくなります。リビングスペースに置いたソファは、 ご主人にとても喜ばれました。ちょっと寝転がることは、今までご主人の夢だったそうです。
リフォームなら既存のアイテムも再利用できる
センターテーブルの話をしている時に 、ご 夫人が木の根をくりぬいた火鉢を取り出してきました。

とのご質問です。火鉢といっても、もう灰は全く入っていません。せっかくこのような面白い材料があるのだからと、結局はセンターテーブルを作らず、その木の根でできた火鉢をセンターテーブルとして活用することにしました。
まずその火鉢の上に、何か甲板を載せることが必要です。
板よりもガラスがいいということになり、厚さ5 mm のガラスの四隅を丸くカットしてもらい、火鉢の上に載せました。
灰や五徳がないくぼみには布を敷き、その布のひだの中に N 様邸の庭で栽培しているみかんを枝ごと切り、2〜3枝並べて置くなど、花や果物といった季節感をディスプレイする場所に使います。何とも楽しいアイデアが出てきました。
リビングの腰窓の下の部分の壁面にはエアコンがありますが、エアコンの上にちょっとした浅い棚が欲しいという意見もありました。
小物を飾る棚として、時計を置いたり花を生けたり、壺や飾りの皿などを置いたり。
Nご夫人としては、まだ色々と手をつけたい場所があったようですが、まだ新築から6年しか経っていないため、本当に困っている場所だけをリフォームすることをおすすめしました。
リフォームの相談では暮らしの希望を共有することが大切
ここでご紹介した戸建の実例は、住み手と私たちの世間話のようなやり取りが、リフォームのプランを練り上げていく上で重要な役割を果たしています。
注意ポイント
住み手はリフォーム業者に頼りきって全部をお任せにしてはいけません。また逆に、自分の要求だけを一方的に押し通そうとするのも困りものです。
ただし、こうしたいというリフォームの希望だけは、プランを考える前にたくさん伝えることがおすすめです。業者に遠慮せず、住み手の希望を述べることは、住み手の義務とも言えるのです。
リフォーム業者も、住み手からこういう暮らしがしたいとリフォームの希望が出ないと、プランの考えようがありません。
リフォームの希望はさまざま持っていても、いざ人に話そうとすると、うまくまとめてわかりやすく話すのは難しいことですね。
話を聞く側であるリフォーム業者の担当者が、住み手の希望を上手にヒアリングして引き出してくれると、その後に提案してくれるリフォームのプランも、きっと理想の暮らし方にぴったりと合うプランになるでしょう。
改築リフォームや増築リフォームをアドバイスする立場の人間も増えており、いずれもユーザーのご相談を受ける仕事です。
こういった相談室では、ユーザーも自分も、図面を目の前にして話をするため、同じものさしで考えることができ、相手の言う内容を比較的正確に理解できます。
しかし電話相談の場合、受話器を通して入ってくる相談で、相談をする側の人が一体何を言いたいのか分からない時です。
同じものさしの図面などがないため、相談する側は自分の家の中のこととして十分把握していても、相談を受ける側は相手の家のことが全くわかりません。
まず質問の内容を理解することから始める必要があります。

最近ではメールでの相談をすることなどもありますが、やはり実際に対面で話すことでお互いの理解も深まり、より要望を汲み取った満足度の高い全面リフォーム、戸建リフォームができるようになるでしょう。
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