ケース④:東京都江東区 (集合住宅)
広いワンルームを中心にリフォームで部屋の数を減らした夫婦の住まい
二人でゆったり暮らせる間取りにリフォームしたい
こちらの住宅は、旧住宅供給公社の住宅で、専有面積が60平方メートルに満たないスペースです。
間取りは6畳の和室が2つに3畳の和室とダイニングキッチンという、全体のスペースに対して部屋数が多い間取りです。
夫婦2人住まいのため、今後も家族構成が変わることがなく、ここにずっと住むことにしました。
2人でもっとゆったり暮らせる間取りにリフォームすることはできないだろうかというのが、当初の相談でした。
N 夫人は最初に、

「3畳という中途半端な広さの部屋を、何とかしたい」
という2点をご相談されました。150万円位リフォームに使っていいと、ご主人の同意を得てスタートしたリフォーム計画です。
部屋をつなげてゆとりあるスペースを実現
まずキッチンを隠すために、収納スペースを増やすことも兼ねて、床から天井までのハッチ(間仕切り家具)を作ることを考えました。
ただし、ハッチを作ると部屋のスペースが狭くなってしまいます。中途半端な広さの3畳の和室も何とかしたいというご要望だったため、あわせてご夫妻とじっくり話し合いました。
いずれにしても、家全体のスペースが狭いため、仕切りは最小限にして、少しでもスペースを広く使う工夫をすることになりました。
その結果、
- 玄関横の6畳の部屋を寝室として独立させ、和室から洋室に変更してベッド生活に。
- あとのスペースはハッチで隠し、広々とした洋室にします。
- 和風の寝具が必要なくなったため、奥行きの深い押入れも必要なくなりました。
- 寝室側から60cmの物入れや、リビング側から30cmの壁面収納を作ることにしました。
- リビングダイニングルームはキッチンを含まず約13畳。
従来の住宅供給公社の住宅では信じられない位、広々とした雰囲気の空間が出来上がったのです。
ポイント
住む人間の数に合わせて部屋の数や間取りを買えていくのもまるごとリフォームをする大きなメリットと言えるでしょう。
ケース⑤:東京都北区 M(集合住宅)
老後を考えて寝室を南側に移動
家族構成の変化がリフォームのきっかけ
こちらも、専用面積が60平方メートルに満たないスペースの集合住宅です。
ご依頼主様は8年前に入居し、当時は夫妻と子ども2人の4人家族でした。そのため、どうしても3 LDK は必要でしたが、今では子どもが2人とも独立し別居しているため、それほど部屋数が必要なくなりました。
ご依頼主様は老後を考え、ここに永住すると決めた上で、家のリフォームをすることを考えました。住宅リフォームのきっかけとなったのは、自転車を玄関スペースに収納したいという思いからです。
ご依頼主様は仕事をリタイアした後、保険の代理業を続けています。そのため、自転車は ご依頼主様のお仕事に欠かせない道具なのです。
マンションや団地では、自転車があちこちに置いてある光景をよく見かけますが、ご依頼主様は毎日愛用する自転車を、我が家の仕事道具として、安全な場所にきちんと保管したいと考えました。
集合住宅ならではの間取りを暮らしに合わせてリフォーム
この家の間取りは、マンションで最も多い間取りのひとつと言えます。
玄関脇の北側に1室、廊下を通り、真ん中にキッチンとダイニングルームがあり、南面に2部屋が並んだ、細長く壁面の多い間取りです。
今まで夫妻の寝室は、北側の玄関脇の部屋でした。
しかし、今は子どもたちが独立し、夫婦2人の家になったため、南側だけを集中して使う計画でリフォームをしようということになりました。
年を重ねて病気になったり、もし寝たきりになったりしまったら、こんな寒くて暗い北側に寝ているのはとても耐えられない。往診に来てくれるお医者さんだって嫌でしょうから、と ご依頼主様は言います。
まず最初に、玄関に「駐輪場」を作ることを考えて、靴箱の反対側を駐輪スペースに設定しました。
この計画では、どうしても北側の玄関脇の部屋まで自転車収納が侵入してしまいます。
それならばと、思い切って北側玄関脇の部屋を収納スペースに変更し、夫妻の寝室を南側に移すことに決めました。
南側の1室を寝室として、残りの1室はダイニングキッチンとの間仕切りを取り払い、ワンルームにしました。
全面リフォームで集合住宅なのに広々とした空間を実現
家全体が60平方メートルと限られたスペースでも、全体的にのびのびした広いイメージになるから不思議です。
このお家は、キッチン部分に欄間があり、アコーディオンカーテンを引くとキッチンを隠せるよう配慮されています。
M 夫人は、キッチンを新しくシステムキッチンに取り替えることで、この欄間も取り除きました。
ワンルームに変更したスペースをさらに広々と感じられるようリフォームしたのです。
このケースのリフォームは、夫婦2人が今後快適に暮らすための間取りを考えたプランです。
思い切って大きなスペースを取るよう考え、集合住宅とは思えない広々と感じられる雰囲気づくりに成功しています。
ケース⑥:東京都武蔵野市 A(集合住宅)
夫妻の趣味を活かした民芸風インテリアのある住宅にフルリフォーム
ご夫人が相談にいらした時のことは、今でも思い出します。
ご夫人は、大きな本を持参してお見えになりました。民芸風の建物がたくさん載っている本です。ご夫人は、

と真剣な表情でご相談なさいました。
定番の間取りから民芸風の空間へ
ご依頼主様のお家は、分譲の公団住宅です。間取りは2 LDK、公団住宅の定番です。
玄関の脇に1室、右側には浴室・洗面とトイレや洗濯室があります。玄関のつきあたりに1室、左側にLDK ワンルームの広いスペースがあります。
民芸風にリフォームしたいのは、玄関から廊下までと、扉を開けて入る LDK ワンルームの広いスペースでした。
まず床をフローリングに変更し、壁は壁紙を貼るのではなく、白く塗装することにしました。柱は濃い茶色にして、ドアはガラスの入った面格子に。
ご夫人とご主人は、以前から民芸風のイメージにこだわりがあったため、ガラス扉の飾り棚もダイニングテーブルと椅子も、リビングに置かれたベンチも松本民芸家具という統一ぶり。
そのため、内装そのものは特に民芸風にこだわらずシンプルにしても、家全体のインテリアが民芸風としてきれいにまとまったのです。
リフォーム後のイメージが明確なほど成功する
このように、リフォームには家のイメージを変えたい場合も多いでしょう。
こんなテイストにしたいとか、あんな感じも好きとか、衝動的に年中イメージを変えたがる方も中にはいらっしゃいます。
そのようにころころ変えてしまうと、すぐまた飽きてしまい、年中リフォームを繰り返さなければならなくなります。
ポイント
ご依頼主様のように、夫婦の趣味がそろい、日頃使う食器から家具まで全て民芸風にこだわっているというケースであれば、希望するリフォームも成功します。
こうした意味で、 このリフォームは心に残る工事となりました。
リフォームから10年近く過ぎましたが、 ご依頼主様のリビングは今なお美しく、新しい陶器が増えたりして、民芸風のインテリアを楽しむ暮らしが変わらず続いてきます。