リフォームとなるとあれもしたい、これもしたいという希望は果てしなく広がることでしょう。
とはいえ、現実的な話として予算に限りがある以上、できるリフォームにも限界があります。
そこで、少しでも安く済ませ、できることを増やすためのアイディアをいくつかご紹介しましょう。
1.部屋のリフォーム
間取りが手狭になってきた、子供が増えた、和室を洋室に変えたい…そういった理由でお部屋のリフォームを考えている方も多いでしょう。
壁を取り付けたり取り壊したりといった方法は、確実ですがコストがかかります。
そこで、簡単にできて低コストのリフォームをご紹介しましょう。
1-1.クローゼットを作る
最近はマンションでも一戸建てでも、新築を作る際には必ず収納スペースが付属します。
また、賃貸や分譲でも収納スペースを売りにしていることも少なくはありません。
それは日本人がそれだけ収納に必要性を見出しているという証拠でもあります。
狭い日本の家屋では収納は非常に大切です。クローゼットを取り付けるリフォームは、それほどコストがかかりません。
家具を買いそろえるのと同じような値段で行えて、すっきりとした収納に見せられるので、あれこれ買い足してデッドスペースを作るよりも高いコストパフォーマンスを発揮するでしょう。
さらに耐震という点においても補強になりますので、優先的にリフォーム項目に入れることをお勧めします。
1-2.簡単な施工で1部屋を2つに区切る
新築した際には充分だと思っていた部屋数も、長く住むうちに足りなくなるという場合があります。
特にお子さんが大きくなって個室を欲しがるようになったり、性別が違った場合は確実にそれぞれのお部屋が必要になるでしょう。
そういった場合、骨組みから間取りを変えるとなるとお金も時間もかかってもったいないです。
ですので、簡単なリフォームで1部屋を2つに区切ることで部屋数を増やすというアイディアがあります。
部屋の真ん中にベッドを置いて区切りとし、簡単な壁を取り付けて部屋を作るのです。
その分広さはなくなりますが、適度な狭さの方が落ち着くので大した問題にはなりません。
例えば、和室6畳をフローリングの2部屋に区切る工事ですと、良心的な工務店なら45万程度で行ってくれます。
フローリングのお部屋を区切るだけならばさらに10万程度は安くなるでしょう。
1-3.生活スタイルを変える
昨今、日本でも洋風の生活スタイルへと変わってきています。
そのため、和室にカーペットを敷いて何とか洋風スタイルの生活をしている、というご家庭もあるのではないでしょうか。
そうなると使い勝手もよくありませんし、思い切ってリフォームをするのもひとつの手段です。
6畳の部屋を和室から洋室(フローリング)に替えるのにかかるコストは40万程度です。
これには床の工事は勿論、壁や天井の改造、畳の処分費用なども含まれています。
一見すると高いコストを払っているように見えますが、
- 害虫やカビを気にせず衛生的に暮らせる
- 布団の上げ下げをせずに済む
- 畳のヘリや襖の敷居につまずかない
など、年老いたときにも暮らしやすいというメリットを考えると安いくらいです。
高齢化社会へと向かうこれから、ますます洋間への転換需要は高まっていくでしょう。
では、実際フローリングにリフォームする際に、注目すべきポイントはどこなのかをご説明します。
フローリング工事の善し悪しは、下地で決まるといっても過言ではないでしょう。
一番安く張れるのはPタイルと呼ばれるもので、これは安い業者なら12万程度で施工が可能です。
上からどんな板を張っても凹凸もなくきれいに仕上がるので、非常にコストパフォーマンスの良い部材です。
このPタイルを張るコストが6畳で12万程度、この上にさらに実際のフローリングのコストが上乗せになるため、床のリフォームは最低20万前後からになるでしょう。
予算や必要性と相談しながら、リフォームする部屋を考えると良いでしょう。
2.水回りのリフォーム
トイレやキッチン、お風呂といった水回りはリフォームでも重要な項目です。
特に古い住居の場合、狭かったり使い勝手が悪かったり不具合が増えたりと様々な問題が出がちな場所でもあり、思い切ってリフォームを、と考えるご家庭も多いでしょう。
使い勝手の良い水回りにするためのリフォーム例を見ていきましょう。
2-1.浴室のリフォーム
古い住居だと、バランス釜と呼ばれる小さな釜の浴槽が取り付けられていることが多いです。
このバランス釜は火力が弱いため台所や洗面、風呂に給湯するのも難しく、湯を張るにも手間がかかります。
そのため大抵台所や洗面所用に外付けのガス器具が付いていることもあります。
風呂のリフォームでは浴槽部分以外をタイル張りにするか、一体型のユニットバスにするかでコストが大幅に違ってくるものです。
コスト面でいうのなら、要である浴槽と風呂釜にお金をかけ、洗い場などそれ以外の部分には手を入れず、戸をアルミ戸に替える程度のリフォームが50万程度でできて一番お金がかかりません。
また、近年では老後を見据えてリフォームするご家庭も増えています。
床を滑りにくい部材にする、手すり、バスシート、腰掛などの設置、段差をなくす、ガラスを樹脂ガラスに替えるなど。
安全性を重視するため、コストに上限はありませんが、浴槽と給湯器に絞ったリフォームですと76万程度で施工が可能です。
手すりや腰掛など、安全面での配慮はお年寄りだけではなく赤ちゃんや小さなお子様にも有効ですので、早い段階でのリフォームを考えても良いかもしれません。
お風呂のリフォームはこだわりだすといくらでもかかります。
何が必要で譲れないのか、どこを削っていいのか、よく考えて計画を立てましょう。
3.台所のリフォーム
小さなキッチンは使い勝手も悪く、料理を置けないなど不便さが先立ってしまう場合があります。小さくてもシステムキッチンにしたいという主婦の方は多いと思います。
システムキッチンといえば高価なものというイメージがありますが、最近はシステムキッチンが主流になっていることもあり、安価で様々なサイズのものが出てきています。
そのため、予算やスペースに合わせたシステムキッチンを導入することはそう難しいことではありません。
大きければ良いかというと必ずしもそうではなく、広すぎるキッチンはかえって疲れてしまったり動線が悪く不便だったりといったデメリットが発生することもあります。
適当にまとまったものを経済性重視で選ぶことで、台所は見違えるほど便利になります。
いずれにせよ、キッチンをメインで使う主婦の意見を取り入れてリフォームすることが大切です。
システムキッチンのなかでもお勧めなのはやはりL字型のものでしょう。キッチンの間取りに併せて入れられるのでスペースの有効活用ができます。
また、コーナーのデッドスペースを収納として利用することで、キッチンそのものも最大限活用できるようになります。
このL字型キッチン、価格帯が幅広くあります。特に高価な人造大理石のものになれば使い勝手は良いですがお値段もかなりのものになるでしょう。
あるリフォーム業者の見積もりではI型キッチンでは設置費込みで140万円、L字型は190万円とかなり高価格になっています。
ですが、良心的な工務店ですと120万程度でやってくれる場所もありますので、予算にあった業者を根気よく探すことが大切です。
3-1.給湯器を取り換える
水回りのリフォームで欠かせないのが給湯器の存在です。
古い給湯器は火力が弱いことが多く、お風呂場でお湯を使っている場合は台所では出ない、などの不便が生じることもしばしば。
そこで給湯器を取り換えるというリフォームの需要が発生します。
持ち家の一軒家は勿論、公団住宅でも「給湯器を新しくする方法がそれしかない」という場合には給湯器の変更が認められていることが多いです。
マンションでは室外は共有スペースになるため多くの場所で禁止されているので細則を確認する必要があり、注意が必要です。
大型給湯器に取り換えることで水回りのリフォームの幅が広がり、台所、洗面所、風呂でいつでもお湯が出せ、便利に使うことができるでしょう。
排気の穴を利用して取り付けるため難しい工事もなく、200万程度の金額で工事が完了します。
一見高く見えますが、これで水回りの問題が一気に解決することを考えれば大変コストパフォーマンスの良い工事と言えるでしょう。
4具体的な見積もり例
実際、どのようなリフォームでどの程度の金額がかかるかを見ていきましょう。
以下にご紹介するのは、良心的な価格の工務店にお願いした場合の金額です。
リフォームでは明確な基準がないため、同じ工事でも金額は業者によって異なります。
大手の場合価格が高くなったり、逆に中小の場合は安いけれど保証が不確かだったり。具体例を踏まえつつメリットデメリットを比較しながら、予算を組んでいくことが重要です。
4-1.間取りを全面改装する場合
まず最初に、間取りを全面的に改装したらいくらかかるかを見ていきましょう。
分譲住宅の場合、多数の人に平均的に使いやすい間取りになっているため、実際に住んでみると意外と使いにくかったり中途半端で持て余す部屋が出てきたりします。
そこで思い切って、LDKを広げて対面型キッチンとし、個室も収納を含めて一新。フルリフォームを行いました。
和室を洋室に変更、洋室3部屋とLDKというすっきりした間取りになりました。収納棚にはパイプを通してクローゼットとして使うとより効果的です。
このようなフルリフォームでは多額の金額がかかることが予想されますが、機器類をサービスで取り付けてもらうことにより555万円という負担の少ない価格で仕上がっています。
4-2.LDKのリフォーム
狭い団地では和室があったりひとつひとつの部屋が狭かったりと、3DKであっても手狭なことが多いです。
和室の襖を取り外してDKと一体化して使っているご家庭も多いでしょう。それをさらに大々的に行ったのがこちらのリフォーム例です。
和室をフローリングに変更し、和室とDKの間にあった壁などを取り壊して壁面収納を設置。
設備器具や改装工事費でそれなりの金額がかかります。一般的には300万円前後かかると思っておくと良いでしょう。
ただ、良心的な見積もりの場合150万程度までさがることもありますので、工務店をいくつか当たってみるのも良いでしょう。
4-3.3LDKを2LDKにする
DINKS家庭や夫婦と子供一人などの場合、部屋数はそれほど必要ありません。
分譲時に3LDKで購入したものの、一部屋の広さが十分ではなく使い勝手が悪い、という場合は思い切って部屋数を減らしてしまうのも一つの方法です。
この例ではリビングのあった場所を開放型の和室に変更、もとは2部屋あった南側をLDKにすることで開放的で明るい印象の部屋へと生まれ変わりました。
大がかりな工事ですが風呂釜など経費の掛かる部分の変更を行っていないため、510万円台と工事規模の割に低コストに抑えられています。
新しい家を買ったり借りたりするコストに比べれば非常に低コストで理想的な間取りが手に入れられたことになります。
5.中古マンションをリフォームする
64㎡程度の中古マンションをリフォームするケースです。
南向きの部屋で日当たりが良く、バルコニー付きで人気の物件ですが、築年数が経っているためお手頃な価格で手に入ります。
そこからさらにリフォームして収納スペースを増加、システムキッチンを入れ、水回りもほぼ変更。
さらに間取りを全面的に変更して部屋の作りを変えるなど、大掛かりな工事で673万円ほどかかりました。
ですが、高いお金を出して新築マンションを買ったものの使い勝手がいまいち……となることを考えれば大変お買い得なリフォームと言えるでしょう。
一口にリフォームといっても、簡単な工事から大掛かりな施工まで様々です。過剰なリフォームにならないよう、希望や必要性をよく考えて施工するようにしましょう。
私の体験談
リフォームにかける費用をできるだけ安くしたいと思うのは、多くの方が考えることです。
限られた予算内で色々なリフォームをしたいと思うのであれば、予算の分配も必要でしょうし、不要なものを削りたいと思うはずです。
ただしあまりあれも高いこれも高いと言って見積もりを何回も要求すると、受ける側も人間ですから、どうせ発注してくれないだろうと思って見積もりをくれなくなってしまうこともあります。
見積もりの段階で費用を要求してくる工務店やハウスメーカーはほとんどいないでしょうが、色々な会社の見積もりを取って、ずっと決めないまま放置しておくと、大工の方もイライラが募ってしまうことがあります。
そうすると結局誰も施工を引き受けてくれなくなり、費用の高い大きな会社に頼ましかなくなってしまうこともあるのです。
結果的には普通に頼むよりも、コストがかかってしまい、結果的に自分が損をすることもあります。
3~4社程度から見積もりをもらった後は、その中でできるだけ比較して決めるようにして、気持ちよくやり取りのできる会社に頼むと良いでしょう。
互いに気持ち良いやり取りができれば、追加のちょっとした工事ならば気軽に頼んでコストを安くできることもあります。
施主様と施工側の関係性によって、発注費用が最終的には安くなるというのも、この世界ではよくあることなのです。