いざリフォームとなった時、まず悩むのがリフォーム業者選びです。
希望通りの施工をしてもらうことは勿論、コストや安全性も気になります。
どのような業者を選ぶと良いのか、発注後の流れ、具体的なリフォーム例などを見ていきましょう。
1.リフォーム業者の選び方
一口にリフォーム業者といっても、大手から中小、個人でやっているお店まで様々です。
また、リフォーム専門業者や工務店、建具店などの専門店までいろいろな業種形態があり、それぞれに利点があります。
1-1.専門業者に依頼するメリットデメリット
一言にリフォームをするといっても、そのリフォーム部分は様々です。
例えばシステムキッチンに替えたい、トイレに洗浄便座を取り付けたいなどなど。
希望のリフォーム方法が決まっている場合は、直接専門業者にお願いするのもひとつの手段です。
例えば水回りでしたら、リフォーム業者を挟むより直接水道業者にお願いした方が安上がりになります。
リフォーム業者を挟むと、そこから水道業者にお願いすることになるので中間マージンが発生し、結果として高くつくことになるからです。
細かいところではドアの修理は建具屋さん、畳は畳屋さんなど細かく分けて頼めば、工務店に一括でお願いするより安いコストで修繕ができるでしょう。
例えば工務店に頼むと20万かかる玄関ドアの取り換えを、建具屋さんにお願いすることで10万円におさえられる、といった具合です。
この業界の仕組みとして、リフォームに必要な設備は大体見積額の半額でメーカーから仕入れていることが殆どです。
そこから希望小売価格を上乗せして利益を上げています。
ですから、その差額分の中でどこまで質を落とさず工事費を安くできるかが値段交渉のポイントになるでしょう。
うまく交渉が進めば、格段に安い価格でリフォームができます。
ただ、専門業者に依頼するデメリットもあります。
たとえば水道業者などですと悪質な業者もあり、こちらの足元を見て高額請求を行うケースが後を絶ちません。
そういった業者を見抜く力が必要になります。
また、大工さんや建具屋さんなども、急に見つけるとなると近所で探すにも労力が必要になります。
近くにないため出張費で余計なコストがかかってしまっては節約した意味がありません。
ですので、専門業者に依頼すると安くあがるということを念頭に置きつつほかのリフォーム手段も検討すると良いでしょう。
1-2.中小の業者・大手の業者の見積もりなどの違いは?
リフォーム業者のメリット・デメリットを見ていきましょう。
中小と大手、どちらが良いかと言えばどちらも一長一短な部分があります。
たとえば中小の場合、とにかく仕事を取りたいため値段に幅があったりその場で気軽に割引をしたりと比較的割安で工事をしてくれることが多いです。
ですが反面、利益の出ないアフターサービスにはあまり熱心ではないため、後から不具合が出た場合でも逃げてしまう場合があります。
一方大手は利益が安定している分アフターサービスはしっかり行ってくれる場合が殆どです。
ですがその名前で商売している分、工事費が割高になってしまいます。
できる限り安くて信頼性があり、アフターサービスもしっかりしているところに頼みたい…というのは多くの人が思うことでしょう。
こればかりは評判を頼りに地道に探すしかありません。
1-3.大手の業者の仕組み
大手のリフォームのメリットとしてもう一つ、全てがシステム化している部分があります。
リフォームの依頼をすれば、「どこをどうしたいか」の希望を伝えただけで設計費からアフターサービスまで細かく設定された見積がすぐに出てくるところです。
それに納得すれば依頼、契約となります。契約後に出される設計図にも費用がかかりますから気を付けましょう。
実際の工事はほとんどの場合下請けが行いますが、この下請けがどのような技術を持っているのかがわからないことがデメリットでもあります。
もしも大雑把な工務店が下請けだった場合、思っていたものと違うリフォームになってしまう可能性もあります。
せっかくのリフォームでがっかりしないためにも、実際の工事まで細かく気を付けて見ることが大事でしょう。
1-4.具体的なリフォームの依頼例
リフォームの様々なデータを公開している㈶日本住宅リフォームセンターのデータを見ていると、一般の方がどのような業者にリフォームを依頼しているかが見えてきます。
一番多いのは、意外にも工務店や大工さんに直接依頼するパターンで、全体の55.5%を占めています。これは賢い選択と言えるでしょう。
裏を返せばリフォーム業者が会社の名前のもとどれほど多くの中間マージンを取っているか、ということが窺えます。
次に多いのが畳、ふすま、塗装といった専門業者です。こちらも前述したコストを抑えるコツに沿った回答といえるでしょう。
ただし、こういった傾向があるとはいえすべてが上手くいっているわけではありません。
こういった場所に依頼できるのは近所や知り合いの紹介などで見つけやすいからであり、そうしたお店を見つけられないと難しい面もあります。
また、アフターサービスなどもリフォーム業者ほどしっかりしていない場合もありますので、見分ける力が必要となるでしょう。
2.比較を行い、予算を有効に使う方法
リフォームで家を綺麗にしたり使いやすくすることは当然ですが、問題は予算があるということです。
同じ予算でもどのような場所にどのくらいお金をかけるかで、内容は全く違うものになるでしょう。
例えば100万円の予算でできることは
- 玄関の改造
- 部屋の内装
- 出窓を着ける
- トイレの改造
このあたりでしょう。
ですが、リフォーム業者によっては価格の振れ幅が大きく、システムキッチンや風呂のリフォームも100万円以内でできることもあります。
このようにリフォームでは、単に予算を決めるだけではなく、その予算で何ができるのか・何がしたいのかを明確にしておく必要があります。
2-1.リフォームの見積は数社からとって比較する
一坪いくらで比較できる新築と違い、明確な基準のないリフォームでは法外な値段をふっかけてくる業者もいますから注意深く確認することは大切です。
悪質な場合になると、見積もりの時点で詳細な設計図を持参し、契約に至らない場合でも設計料を取るというようなケースも発生しています。
一般の方に知識があまりないことを悪用する業者には注意しましょう。
複数社から見積もりを取った際、注目するべきポイントがいくつかあります。
その中でも特に注目すべきポイントは「材料が何か」という部分です。
資材の種類がわからない場合は業者にお願いすればカタログを見せてもらえます。
カタログと見積もりを比較すると、その部材が小売価格なのか割り引かれているのかがわかります。
例えば同じ部材で行うバスルームのリフォームでも、60万でおこなうところもあれば350万も取るところもあります。
勿論施工の丁寧さなどの差はありますが、なぜこれほど差が出てしまうのでしょう。
見積もりを取る際は、こういったところに注目してみると余計なコストを抑えられます。
勿論、高ければそれだけ細かく項目が設定され、完璧な施工をしてくれることも確かです。
どちらにメリットを見出すかは考え方の違いですので、比較することが大切です。
そして、見積もりを確認していくと専門家にしかわからない項目がいくつもあります。この項目をきちんと把握することも大事なことです。
なぜなら、当然かかるべき費用と儲けを出すための設定の部分があるからです。
当然かかるべき費用を削ってしまうと工事の質にかかわったり、儲けを出すために手抜き工事になってしまったりという危険があります。
地盤の強化をするのに補強材を注入するだけで済ますか、ジャッキアップして鉄骨を入れるかでもコストが変わってきます。
削るべき項目とそうではない項目を見極めるためにも、どのような施工が適切なのか、素人目で判断できないことは専門家に積極的に質問しましょう。
注意すべき部分は「過剰見積もり」です。
例えばエアコンや照明器具といったものは、中間マージンが発生する分高くつきがちです。
そのため、自分で買ってきて設置だけしてもらった方が確実に安く上がります。そういった抑えるべきを抑えて、コストのバランスをとるのも必要です。
更に、造園などもレイアウトや使う資材によって値段があってないようなものなので、コストをしっかり管理する必要があるでしょう。
3.契約の際の注意点
見積もりの比較が終わり、お願いする業者が決まったら契約を済ませて実際に工事をお願いすることになります。
実際に契約をして施工するとなれば、大きな金額が動くことになりますので、細かな部分まできちんと確認することが必要です。
実際の契約をする時のチェックポイントを見ていきましょう。
3-1.契約前のチェック
リフォームにおいて何を重要視するかは人それぞれですが、以下については特に注意深くチェックする必要があります。
- 値段がリーズナブルであるか
- 工事が丁寧か
- 材料は品質のいいものを使っているか
- アフターケアは大丈夫か
- 苦情の多い業者ではないか
営業マンの態度なども重要です。
相談や質問に誠実に答えてくれるか、物事をはっきりと教えてくれるか。
それがない会社はのらりくらりとかわして余計な工事までさせ、もうけを出そうとするから注意が必要です。
3-2.契約前に設計図を確認する
見積もりの段階で業者に見せてもらえる設計図や立体図はきちんと確認をしましょう。これを見ることで大まかなイメージがつかめます。
併せて部材のカタログも見せてもらうとなお良いです。
こういった設計図は実際は下請け業者に向けて作成されたものですので、素人であるユーザーが見ても分からない部分がかなりあると思います。
ですから、少しでも分からないところや気になった点は遠慮せずにどんどん質問しましょう。
下請け業者向けの内部資料ですので、この分の設計料を取られることは本来ありません。契約前から設計料を請求してくる業者は注意が必要です。
何にしても、質問しても納得のいかない経費がある業者には依頼をしないことが賢明でしょう。
4.契約後のお金の流れ
実際に契約をして施工となると、工事費の支払いが発生します。
なじみの業者でお互い信頼関係がある場合は後払いということもありますが、大抵こういった工事は前払いが基本です。
下請けを使って工事をして、代金が取れなければ業者としても大きな損失になります。
小さな工務店などは倒産の危険にもつながりますので、そういったリスクを避けるためにも前払いが当然となるのです。
大まかなフローとしては、契約時に前金支払い1/3、工事着工時に中間金支払い1/3、工事完了時に残金支払い1/3、これに加えて増築の場合は登記料などの諸経費が加わります。
細かな注文を聞いてもらう分、代金は期日までにしっかりと払うようにしましょう。
それがお互いの信頼関係につながり、ひいては工事の丁寧さにもつながります。
ローンを組む場合は、引き落とし日に口座にお金があることを確認することも大切です。
私の体験談
リフォーム工事を発注するときに、絶対避けたい事態は、発注中に業者が倒産して工事が途中でストップしてしまうことです。
業者の中には大変に良い加減な業者が紛れていることもあり、お金だけ受け取ったはいいものの工事をろくにせずに姿をくらましてしまったり、業者が存在していても中途半端な状態で放置されたりしてしまうことがあります。
私が見てきた中でも、図面と全く異なる工事を行っておきながら、自分たちに責任はないと言い逃れして追加の費用を請求する…そういった大変に良い加減な業者もありました。
こういった業者はいずれ地元では商売ができなくなりますが、それでもその時点で発注してしまったお客様が大きな被害を受けてしまったことには変わりありません。
そんな時はこの記事に示した相談窓口に話を持っていくのと同時に、最悪の場合は裁判まで起こさざるを得ないでしょう。
大変に精神的なストレスがかかってしまいますが、きちんと証拠を残しておき、時には徹底的に相手が逃げられないように追い詰めることも必要です。
途中から他の業者に工事を発注するというのはなかなか大変ですが、相談をしてみると意外と途中から引き受けてくれる業者も見つかるものです。
諦めずに取り組んでみてください。