リフォームの工事請負契約を必ず取り交わす
リフォーム工事を依頼する時は、見積もりをしっかり取り、工事請負契約を取り交わすことが絶対に欠かせません。
きちんと工事請負契約書を取り交わさないまま、口約束で工事を始めてしまうと、工事完了後にトラブルが起こってしまうことがあるのです。
これは住宅を建てる時でも、リフォームをする時でも同じです。
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リフォーム工事では口約束ではなく見積もり、契約書を取り交わす
口約束ではリフォーム工事を発注しない! リフォーム工事は、すべてオーダーメイド。 お客さまの要望に応じて、古い家をリフォーム業者が改修する工事です。1つとして同じ工事はあり ...
リフォーム後のトラブルを未然に防ぐために
工事請負契約書をきちんと交わしていれば、契約書の内容通りに工事を進めてもらうことができますが、契約書がなく単なる口約束の場合は、お互いに言った言わないの水掛け論になってしまうことがしばしばあります。
また、契約を交わしても、工事内容が契約通りにならなかったという例もあります。
リフォーム工事を施工業者に依頼する場合は、必ず完全な工事請負契約書を取り交わすようにしましょう。
リフォーム工事の場合は、工事の規模にかなりの幅があります。
ちょっとした修理のような簡単な工事であっても、面倒だからと契約書なしに進めるのではなく、必ず工事請負契約書を取り交わしてトラブルを未然に防ぎましょう。
リフォームの工事請負契約書とはどんなもの?
ではこの工事請負契約書とは、どのような項目があるのでしょうか。
- 工事内容(取り交わす請負契約に含まれている工事の範囲と設計図、仕様書など)
- 請負代金の額(支払わなければならない金額)
- 着工の時期と完成の時期(いつ着工していつ完成するかは、仮住まいなどが必要になる場合に大切な項目です)
- 請負代金の支払い方法(工事前に全額支払い、何回かに分けて分割払いなど、いろいろな支払い方法があります。特に金融機関から融資を受ける際は、融資が実施される時期もさまざまのため、契約書ではっきりしておく必要があります)
- 設計変更や工事中止の場合に生じる損害負担はどうするか(悪意がなくても、途中でやむを得ず工事の中止が生じたり、全面的に設定変更が必要になった時、すでに工事が開始していれば、工事をした部分の支払いや壊した所を復旧する工事の支払いが当然発生します。その支払いはどうするのか、万が一の場合を考えて決めておく必要があります)
- 火災など不可抗力による損害の負担はどうするか(地震や火災など、さまざまな天災や人災などで損害を受ける場合がまれにあります。その場合の負担をどうするのか決めておく必要があります)
- 工事中の火災保険に関する定め(工事中に火災が発生することもあります。そのため火災保険に加入しておくと安心です)
- 竣工検査と引渡し時期(いつ入居できるかが分かると、引越しの手配や新しく入れる設備機器の搬入などの計画が立てられます)
- 履行遅滞、その他の債務不履行の場合の遅滞利息違約金などの定め、部分所有に関する定め
- 契約に関する紛争を解決する方法
- 瑕疵の保証に関する定め(完了した工事に関して何年間は保証するとか、工事の部分や内容によりどの程度保証するなどという、アフターケアに関する項目)
工事請負契約書というと、一見大げさで難しく聞こえるかもしれません。
しかし、希望に沿った工事を実行して、リフォーム中や完成後のトラブルを防ぐために、工事請負契約書は欠かせないものです。
万が一トラブルが起こってからでは遅いのです。
費用をかけて住まいの改造をするのですから、家族が安心して住み続けられるよう、しっかりと書面で契約を交わしてリフォームをスタートしましょう。
リフォーム工事でも建築基準法令などに関わる申請の届出をする

リフォームの設計や施工の計画が決まったら、この手続きをなるべく早く行いましょう。主な手続きを3つに分けてご紹介します。
A確認申請
着工前に、これから行うリフォーム工事の計画が建築基準法令に適合しているかどうか、確認するために定められているものです。
確認申請は、建築主が地方公共団体の建築主事に提出します。
確認申請は、防火地域や準防火地域外で増改築部分の面積が10平方メートル以内の場合は必要ありません。確認申請が必要な場合は次の通りです。
- 木造住宅で増改築後の規模が3階または3階以上。または、延べ床面積が500平方メートルとなった場合
- 木造住宅で増改築後の規模が2階または2階以上。または、延べ床面積が200平方メートルとなった場合。
確認申請に必要な書類は、確認申請書、付近見取り図、配置図、各階平面図、し尿浄化槽の見取り図、建築計画概要書、その他これら以外の図面が必要になる場合もあります。
B 建築工事届・除却届・工事完了届
建築工事届は、住宅の増改築をする場合に必要になります。ただし、その床面積が10平方メートル以内の場合は必要ありません。
工事完了届は、指定の様式の書類で建築主事に届出します。
建築主事は工事完了届を受理した後、その届出の住宅や敷地などが関係法令に適合しているかどうか検査をします。
その後、検査済証が交付されます。
検査済証の交付を受けなければ、原則として住宅としての使用はできません。
Cその他の手続き
その他にもリフォーム施工業者が必要に応じて手続きをしなくてはならない場合があります。
- 道路占用許可(都道府県知事に申請)歩道に仮囲いなどをする場合
- 道路使用許可(警察署長に申請)
- 水道新設工事の申請(水道局長に申請)
- 電灯・電力の工事申込書(電力会社に申請)
信用がおけるきちんとしたリフォーム業者であれば、以上の申請書の届出などは必ず行なってくれます。
建築主も業者任せにしないで、どんな時にどんな届け出が必要なのかを把握しておく必要があります。
また、リフォーム工事の前や工事中には、さまざまなことが起こりえます。
その都度対処すれば問題ありませんが、あらかじめ想定されることを事前に考えておいて、スムーズに対応できるようにしておくと、気持ちの負担も軽くてすむでしょう。
フルリフォーム、全面リフォーム工事における確認すべき事項
リフォーム工事を発注する前には、以下の点もしっかりと確認しておきましょう。
- 工事に伴い発生する、環境を悪くする要因(騒音振動、ホコリ、においなど)
- 作業場所が確保できるかどうか
- 資材を置く場所が確保できるかどうか
- プライバシーの侵害がないか(工事人などにより、施主や近隣のプライバシーが侵害される恐れがある)
- 日照や通風、採光など(シートや仮設物などで妨げられる場合がある)
- 足場が確保できるかどうか(敷地内に足場を組むスペースがない場合は、隣地を借りる必要がある場合もあります)
- 落下物の危険性(敷地は道路に落下物があると危険です。そのため、最初から防止策を考える必要があります)
- 作業車が入れるか(道路が狭く、資材の搬入や廃材・ゴミを排出する車などが出入りしたり、駐車したりするスペースがあるかどうか)

大規模リフォーム工事中とその後に検討すべきこと
工事中には以下の点に気を配るようにしましょう。
- リフォーム施工者への対応(建築工事は毎日職人が現場に来て作業をします。そのため、施主は職人が気持ちよく仕事ができるよう、日々の対応に細やかな心遣いが大切です)
- 祭事(増築の場合も、新築同様に上棟式を行う場合があるため、職人と相談するといいでしょう)
- 養生(改良部分はもちろん、それ以外にも家具などが汚れないようシートなどをかぶせて保護するといったことがあげられる)
- 安全対策(工事場所以外も、資材置き場が崩れたりしないように、上部から落下物などがないようになど配慮する)
- 色や柄の決定(クロスの張り替え、ペンキの塗り替え、カーペットの敷き替え、外装の塗り替え、吹き直し、屋根仕上げ材の葺き替えなど、材料の色や柄を選ぶ時は、職人任せではなく施主側もよく検討して選ぶことが大切)
- 点検(工事中や工事完了後に、契約通りにできているかどうか工事の内容をチェックする。契約以外にも新しい希望があった場合、リフォーム施工会社に意見を述べ、修正したり新たに工事をしてもらう。その際は、請負金額に当然変更が生じるため、契約の変更をする必要がある)
- 諸手続き(工事完了後、建築基準法に関わる工事完了届や、住宅金融公庫から融資を受ける場合は工事完了審査の申請をする。その後、工事請負契約にもとづき工事費用を精算する)
- 人や物の移動(リフォーム中に仮住まいをする場合、リフォーム後の自宅へ戻ることになる。物も元の位置に戻すため、塗装工事などの湿気がなくなったことを確認してから行う)

リフォーム完成後の竣工検査には必ず立ち会う
家族全員でリフォームの仕上がりをチェックしよう
リフォーム工事が完成すると、施主は工事の引渡し前に検査をします。
この竣工検査には、設計監理者、監督、設備業者などが一堂に会します。新しい設備の使い方など、専門の目で説明を受ける必要もあるでしょう。
リフォームの仕上がりの良し悪しも丁寧にチェックする必要があります。住まいのお手入れの仕方も教えてもらわなければなりません。
例えばキッチンなどは、直接それを使用する主婦が使い方の説明を受けるのが理想的ですが、竣工検査での点検には、できれば家族全員で参加するようにしましょう。
リフォーム完成後に必ず確認すべきこと
工事が完了した時の竣工検査のポイントを、まとめてご紹介します。
まず、建具などは動かしてみて、収まり具合をチェックします。 家具などをリフォームで作りつけた場合には、色や形、素材などを、目で見た感じだけではなく実際に触って確認しましょう。動く部分は動かして確認することが重要です。
リフォームの場合、工事範囲は住まいの全部ではなく限られています。
リフォームした範囲を図面でよく見て確認しましょう。
また、リフォームでは新しい設備を設置する場合が多いため、その設備を直接動かして必ず確認しましょう。
工事請負契約の時についているリフォームの仕上げ表と、実際にリフォームが完成した現場を照らし合わせて確認することが大切です。
工事の際に出た残材がきちんと処理されているかどうかも、確かめる必要があります。
清掃や後片付けは、満足のいくものでしょうか。
万が一、リフォーム工事によって破損してしまった場所を見つけたら、リフォーム業者に復旧を求めることも必要です。

依頼主である住み手の責任において仕上がりを確認することで、真にリフォームは完成するのです。
ご主人だけ、奥様だけでなく、そこに住む家族全員の目でリフォームを総点検しましょう。それぞれの視点から分かることがあるはずです。
これは、リフォーム後の住まいで家族が長く安心して快適に暮らすために、欠かせないことと言えます。