リフォームではさまざまなトラブルが起こりがちです。
トラブル回避のため、また、トラブルが起きてしまった時の対応のため、事前に知っておきたいことをQ&Aで紹介します。
Q.リフォーム工事を行う前段階で大切なものは?
A.いちばん大切なのは、リフォームの目的と予算をはっきりさせること
ある意味、事前に用意するもので大切なのは「リフォームの目的をはっきりさせる」ということです。
例えば「キッチンを新しくしたい」というリフォームの希望があったとします。
確かに新しいキッチン自体は魅力的ですが、そこには「既存のキッチンが使いにくい」というリフォームのきっかけがあるはずです。
その使いにくさを解消するためには、キッチンを入れ替えるだけで充分なのかどうか、吟味する必要があります。
リフォームを希望するそもそもの目的を、リフォームの専門家によく相談して満足できる結果になるよう、プランを練りましょう。
また、プロに相談する際には、予算を明確にし、納得いく工事内容ができるようにすり合わせを行いましょう。
Q.リフォームをスムーズに済ませるために、何を用意しておくべき?
A.構造に影響するリフォームには図面などの書類が必要
柱や梁、土台など構造に手を加えるリフォームでは、プランを立てる段階で必要になるものがあります。それは、次の書類です。
- 確認申請図書類(確認済証を含む)と検査済証
- 竣工図、施工図、工事写真、現場指示書など
1は、法律的にリフォームができるかどうかを知るために必須です。
1には、仕様書や工法に対する認定書、設計図、付近見取図などの図面が含まれます。
これがない場合、敷地と建物の関係を示す敷地実測図と配置図が必要となります。通し柱や筋交いの位置など、構造上のチェックも必要になります。
2の図面類は、寸法、質量、性能等を表すために必要なものです。
特に施工図は重要です。設計図だけでは分からない、部材の厚みなどが表現されているので、各部の納まりや取り合いが把握できます。
図面類がきちんと保管されていれば、プランニングや工事がスムーズに進行します。
Q.必要書類がない場合はどうしたら良いの?
A.主要構造部分に手を加えるリフォームでは工事の安全性を保つため、トラブルを避けるためにも必要なので、作成しなければなりません
内装クロスの張替えや外壁の再塗装などの作業では、図面がない場合がほとんどです。
しかし、間取り変更を伴うような大掛かりなリフォームは、図面がないと職人さんも工事に困ります。
主要構造部分に手を加えるリフォームでは、確認申請図書類が必要です。既存図面がない場合、確認申請図書類を一から作成しなければなりません。
図面がない場合に起こり得る問題は、工事後に瑕疵が見つかった時、既存の家に問題があったのか、リフォーム工事によってその問題が発生したのか、責任の所在がはっきりしないことです。
問題が起きると建物全体の健全性にも影響を及ぼします。
また、契約書に添付されていることが多い小さなプラン図、パース図はイメージイラストに過ぎないので図面とは言えません。
前述しましたが、図面とは、寸法、質量、性能等が記されているものです。トラブルの責任を問うような場合は、この図面の存在が必要不可欠となります。
Q.契約書に一般的な書式はあるの?
A.契約書の書式に決まりはありませんが、必ず内容を理解した上で交わしておきましょう
大掛かりなリフォーム工事の場合、リフォーム業者が契約書を作成します。その内容は、新築と異なり業者ごとに違うものです。
契約書をよく読み込まず、安易に契約を交わしてしまうことはトラブルの元になります。
リフォーム工事は、新築よりも施主の自己責任が問われるので、自分を守るためにも、契約内容はよく確認して理解するようにしましょう。
次に、契約時の重要なチェックポイントを紹介します。
- 契約の前提となる見積書は、内訳明細書である詳細見積をもらい、工事の内容と金額をチェックしましょう。
- 曖昧な契約はトラブルの元です。どんな小規模な工事であっても、必ずリフォーム工事請負契約書を取り交わしましょう。工事内容を明確化するためにも、契約書の内容は前もって確認し、自分も工事会社も双方納得いく内容の工事契約を行いましょう。
- 支払い方法については契約書に明記されているので、しっかり確認しておきましょう。特にリフォームで追加工事が出た場合、もとの工事費用よりも追加工事の方が高くなってしまう場合があるので、追加工事の取り決めについては必ず明確化しておきましょう。
- 契約書には必ず設計図面と仕様書を合わせた設計図書類を綴り込ましょう。詳細な図面がないと、トラブルがあった時に約束違反であると主張することが難しくなってしまいます。
- 契約書の合意内容を具体的に指定する「契約約款」も交わしましょう。
- 増改築や大規模な修繕・模様替えを要する場合、新築と同様に建築確認申請を必要とします。また、主要構造部分を補修するような工事は、確認申請が伴う可能性があるので、その時は建築士に相談したり、依頼する必要があります。その場合、担当建築士とリフォームの設計・監理契約を締結しておきましょう。
Q.リフォームに保証制度はある?
A.公的な保証制度はありません。契約書をよく読んで保証内容をチェックしましょう。
リフォーム工事に対する公的な保証制度はありません。
一般的な商品を買った時と同じく、民法による瑕疵担保責任の期間として1年間の保証が定められているだけなので、保証に関しては業者の姿勢によるものが大きいです。
リフォーム時に業者と交わした契約書に保証基準や瑕疵担保責任期間が明記されているか、その内容をきちんと把握しておきましょう。
Q.中古住宅を購入してリフォームする場合の保証は?
A.(財)住宅保証機構による既存住宅保証制度があります。ただし、対象住宅には条件があります。
中古住宅を購入してリフォームする、あるいはリフォーム済の中古住宅を購入する場合は、(財)住宅保証機構による「既存住宅保証制度(旧・中古住宅保証制度)」が関係してきます。
この制度は、既存住宅の引渡し後、最長5年間にわたって瑕疵を保証してくれます。
対象となる住宅は、下記の条件を満たしたものです。
- 登録申請時点で新築後15年以内の戸建て住宅であること。新築後1年を経過していない住宅は、売主等が居住の用に供した住宅であること。
- 住宅性能保証制度、住宅性能表示制度、住宅金融公庫融資、建築基準法のうち、いずれかに基づく公的な中間検査が実施されているもの。
- 増改築工事が行われている場合、その部分が建物全体の延べ床面積の過半を超えていないもの。
- 登録申請時(所有権移転前に限る)に、機構の定める既存住宅保証登録基準に適合したもの。
Q.どこからリフォームするのが正解?失敗しないリフォームの進め方は?
A.まずは建物の構造体のチェックを。工事は一緒に行った方が得な場合もあります
リフォームに「こうでなければいけない」という決まりはほとんどありません。
しかし、リフォームの前に一番チェックしなければいけないのは、既存の家がしっかりしているかどうかです。
特に大規模なリフォームを考えている場合は、「リフォームの骨格」となる構造体に問題がないかを調べましょう。
そして、正確に現状を把握するにはプロの建築家に調査を任せるのが安心です。「既存住宅が健全な状態であること」が、リフォームの大前提です。
リフォーム自体は、一部だけ行うと新しい部分と既存の部分で仕上がりの差が目立ってしまうので、例えば内装を取り替えるのならば壁の一面ではなく全面を、という風にある程度広い範囲を同時に行った方が効率的です。
また、トイレと洗面所やお風呂など、水回りの配管を動かす場合、床を剥がす必要があるので、ひとつひとつ別々に工事するよりもまとめて行った方がリーズナブルにはなります。
Q.具体的に家のどこをチェックしたら良いの?
A.目視でチェックできる項目を紹介します。引っかかったら専門家に相談を

新築・中古に関わらず、購入した時点で確認申請図書類や検査済証、設計図、施工図、竣工図などがない場合は、その家の設計・監理に問題がある場合も多いので念入りに調べる必要があります。
自分で目視できる範囲でチェックできることがあるので、次に紹介します。
いくつかの項目に引っかかるようであれば、構造上の欠陥を疑う必要がある、という認識でチェックしてみてください。
建物基礎とその周辺 | |
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基礎コンクリート周辺で地盤が極端に陥没していたり、地割れや巣穴がある | 鉄筋棒などを地面の数箇所に挿入し、硬さや地層の状態を確認しましょう。 |
室内の床が傾斜し、床下換気孔や人通孔の周囲に大きなクラックが集中している | 将来、雨水の侵入や不同沈下の可能性があります。 |
クラックが内外の基礎の同一両面にある | 構造クラックの可能性があります。 |
車が通ったり、強風で家が激しく揺れる | 1階に車庫がある場合やオーバーハング部をもつ住宅に見られる例で、構造上の欠陥がある場合があります。 |
屋根まわり | |
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屋根瓦が割れたり、ストレートに剥がれやひび割れがある | 雨漏りの原因になり、強風時には飛散する危険があります。場合によっては、防水補修や葺き替え工事が必要になります。 |
外壁面 | |
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外壁にひび割れがある | 雨漏りなどの危険があります。周辺を叩いた時の音質によって、浮きや剥離の程度が判断できます。 |
外壁サイディング系パネルのジョイント部分にシールクラックがある | 使用シールが劣化している可能性があるので、補修が必要です。 |
柱や壁 | |
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建具の開け閉めに不具合を感じる、左右に隙間がある | 柱や壁に傾斜が発生している可能性があります。四周枠が著しく変形している場合は、建物自体が傾いている可能性も。 |
壁の仕上げ剤がねじれていたり、隙間がある | 建物自体が傾いている可能性があります。 |
床 | |
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床がきしんだり、明らかに波打っている | 床下地の施工不良が考えられます。 |
机や椅子などの座りが悪い、ものが転がる | 巾木と床の間に隙間がある場合は、一般施工基準以上に傾斜している可能性があります。 |
カビ・シミ・臭気 | |
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天井や壁、窓まわりにシミが発生している | 雨漏りの可能性があります。 |
押入れ内部にカビが発生している | 断熱材の充填不良の可能性があります。 |
家の中で臭気が発生する | ・床下の防蟻、防腐処理、壁や床の内装材が原因であることが多いです。 |
水回りで臭気が発生する | 排水配管、設備機器の配管接続不良やトラップ枡の不設置の可能性があります。 |
音 | |
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上階、下階の音が際立って聞こえる | 2階床下地構造の施工不良、建物内外部の気密性の影響、音環境の検討不足などが考えられます。 |
1階の台所や洗面所でボコボコとした音が聞こえる | 1階と2階の排水系統が同一で、通気機能が働いていない可能性があります。 |
断熱性能 | |
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冷暖房の効き目が極めて悪い | 屋根裏の断熱材がなかったり、壁内の断熱材が部分的に不足しているなどが考えられます。 |
Q.地盤のチェックもしたほうが良いの?
A.大掛かりなリフォームや一度も地盤チェックを行っていない、家自体が古い場合はこの機会に調べてみましょう
地盤はすべての建物の基本です。
せっかくリフォーム工事を行っても地盤が悪いと意味がありません。
リフォーム工事で、例えば、ストレートの屋根を瓦で葺き替えるといった大規模なものになると、建物自体の重量が増えるのでその重さに耐えるだけの強さが地盤にあるか、改めてチェックする必要があります。
また、経年変化によって地盤の状態が悪くなることもあります。
新築時の地盤調査報告書がない等、不安がある場合は業者に依頼し、改めて地盤のチェックを行いましょう。
Q.耐震診断は必要?
A.建物の健全性を確認し、リフォームの見積もりを明確にするためにも必要
2000年6月1日の建築基準法改正以前に建てられた家は、耐震性が計算されていない可能性が高いものが多いです。
また、改正後の建物でも、瑕疵などがあれば耐震性に問題が出る場合があります。
リフォームを機に耐震診断を行うことは、建物の健全性を確認するためにも意味のあることです。
耐震診断には、簡単なチェックシートでできる簡易耐震診断があります。これは、インターネット上でも配布されています。
また、建築士の目で見る一般耐震診断もあります。
耐震診断により、問題があれば補強工事が必要です。
補強工事の要、不要によって工事金額が大幅に変わるので、耐震診断はリフォームの見積作成のためにも行っておいたほうが良いでしょう。
Q.リフォームの工事期間はどのくらい?工事が延長することはあるの?
A.リフォーム工事は延長が起こりがち。予測不可能な部分もあるので、多少の延長は想定しておいたほうが良いでしょう
リフォーム工事には追加工事の発生などによる工期の延長が起こりがちです。
まず追加工事がでないようにすることが大切ですが、床を剥がしてみたら構造体が腐朽していたなど、予測不可能な部分もありますので、多少の工期延長は想定しておいたほうが良いでしょう。
また、外国製の設備など一般的ではないものをこだわって施主提供する場合、大工さんが慣れていないと工期延長の原因になります。
Q.「住みながら」のリフォームと「引越し」、どちらがお得?
A.工事の規模が小さく、期間も短い場合は住みながらのリフォームが負担は少ないです。工事が長期になる場合は、双方の金銭的・精神的負担をよく検討してみてください

工事の規模が小さく、期間が短い場合は住みながらの方が良いでしょう。
工事が長期にわたる場合は、毎日自宅に出入りする職人さんに気を遣うなど、精神的な負担もあるので引越した方が良いかもしれません。
その場合は、引越し費用などを良く検討してみましょう。
私の体験談
営業マンはともかく、実際に工事を行う大工というのは口下手な人間が多いです。
細かいことをわかりやすく、周りの人間に伝えるということをあまり仕事の中で行いません。話よりも、行動を見て理解しろということが多いのです。
もちろんお客様に対して、そのような姿勢が許される理由はありません。
大きなお金が動くリフォーム工事ほど、お客様の不安は大きなものになるはずです。
そこで私たち営業マンは、必ず打ち合わせの時には、お客様の不安を解消できるように、最後に何かわからない件はありますかと聞くようにしております。
もしそのようなことを打ち合わせの時に聞いてこない工務店は、お客様に対する姿勢がなっていないものと考えられます。
またメールや電話での問い合わせに対する回答が遅い工務店も、お客様に対するサポートがなっていないと考えられます。
最初の打ち合わせの時に質問をして、きちんとした回答をしてくれない工務店は選ばない方が良いかもしれません。