念願のリフォームが完了した後は、心配事なく快適な生活を送りたいですよね。そこで、リフォーム完了後の注意する点を紹介します。
目次
1.リフォーム工事の最終チェックの重要性
工事がきちんと行われたか、最終チェックをすることはとても大事なことです。業者任せにしないで、しっかりと確認しましょう。
新築では竣工検査というものがあり、建築士の立会いのもとで、建築主がチェックを行います。そこで問題が見つかれば、施工者は補修などをしなければなりません。
しかし、リフォーム工事の場合は、さまざまな理由でしっかりとした最終チェックが行われていないのが現状です。
業者が粗探しをされたくない、依頼者が早くリフォームした箇所を使いたいから業者のチェックを逆に断る、などのケースが見受けられます。
しかし、例え壁紙の張替えだけの作業だったとしても、一定のレベルに達していなければやり直しするのが当然です。工事完了の知らせを受けたら、まず目視でチェックしてください。
また、構造部分に手を入れるような大規模リフォームの場合は、工事前の状態を撮影し、リフォーム工事後に発生したトラブルの責任の所在が明らかになるようにしたいものです。
業者が出入りする際に傷をつけることもありますので、工事箇所だけではなく、建物全体の状態を記録に残しましょう。
1-1.最終チェックの具体例
例として、増改築リフォームの場合の最終チェックの具体例を紹介します。
リフォーム工事検査必要書類のチェック事項
- 工事の打ち合わせ記録、施工指示書などを確認する。
- キッチン・バスユニット・トイレなどの設備機器や電気設備のメーカー仕様書及び、取り扱い説明書の確認。
- 完成までの工事進捗内容が分かる工事写真及び、現状が分かる竣工図を確認。
外部周りのチェック
- 隣地境界付近の片付けや清掃状況、近隣住宅の塀を傷めた場合は修復状況を確認。
- 基礎コンクリート部分の汚れや付着物を落とし、撥水剤を塗布しているか。
- 外壁の仕上げ部分とガルバリウム鋼板の取り合い部分の防水シールをチェック。
- 木部・鉄部塗装部分の塗り重ね回数について確認し、仕上げをチェック。
内装関係のチェック
- 床・壁・天井面の水平、垂直、たわみやねじれがないかなど、内装仕上げの状態を確認。
- 改築・改装した箇所の、エキスパンションジョイント部分の防水シール状況をチェック。
- 点検口から床下を覗き、吸水・排水・給湯などの設備配管を確認。
これはほんの一例で、改装や改築、模様替えなどリフォームの程度によってチェック内容、項目が異なります。
完成検査の立会いは建築主とリフォーム業者の責任者が行います。さらに工事管理者がいると、プロの目によるしっかりとしたチェックが行えるでしょう。
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2.リフォーム・増改築での追加工事について
リフォーム工事中の追加工事は非常にコストがかかります。
例えば、材料が変更になった場合、すでに発注している材料の代金も発生します。
さらに、新しい材料が届くまで中止している工期分の日当も発生するでしょう。これが大幅なプラン変更となると、さらに出費がかさみます。
そのため、プランの段階で希望を正確に伝え、見積りに希望が反映されているか、よく確認する必要があります。
しかし、どうしても材料を変えたい、プランを変更したい、という場合もあります。
納得できずに再度工事を行ったり、不満の残る家に住み続けるよりは、追加出費があったとしても希望通りの家に住んだ方が良いと感じたら、プランを変更するのもありです。
つまりは依頼者の考え次第です。ただし、工事内容の変更や追加に伴う費用については、事前に見積もりをとっておきましょう。
2-1.そのリフォーム・増改築での追加工事は本当に必要?
依頼者からの希望ではなく、業者が追加工事を迫るケースがあります。
注意したいのは、その問題が本当に重大なのか、建築のプロでないと判断が難しい場合です。
よくあるケースを紹介します。
実際に床を剥がし、
などと言って、追加工事を勧められる場合があります。
確かにツガはヒノキに比べて腐りやすい素材ではありますが、すぐに腐って倒壊の危険性があるというわけではありません。それに、廉価な建売住宅では、ツガの土台は当たり前のように使われています。
しかし建築に携わっていないと、そう言われると大変な欠陥があるように感じてしまうものです。
追加工事は、業者にとってはうまみのある仕事でもあります。
少額のリフォームをきっかけに追加工事を増やし、高額の工事にしようとする場合もあるので、注意が必要です。
これをチェックするには、きちんと説明を受けることが大前提になりますが、判断にはやはりプロの目が必要です。
リフォームに詳しい建築設計事務所など、第三者に工事管理を依頼しておくと安心でしょう。
2-2.構造部分の追加工事について
床や壁を張り替える際、既存のものを取り壊してみたら構造部分に問題があった、という場合はどうでしょうか。
事前のチェックをしっかり行っていれば、起こりがたいことですが、事前チェックといえども完璧を期すのは不可能なので、決してないとも言い切れません。
特に壁などは、筋違いの有無まで測定できても、金具の有無まではっきりとは分かりません。
この場合、本当に家の健全性に関わる問題であれば、追加で修補せざるを得ないでしょう。
3.工事後に雨漏りしてしまった
屋根の重ね葺きや葺き替え工事を行ったり、トップライトを設置したところ、その後に雨漏りが発生してしまった、というトラブルが実際に起こっています。
このような場合、どう対応したら良いでしょうか?
3-1.責任の所在を証明するのが難しい
雨漏りが発覚した場合、原因がどこにあったのかを調べることが第一です。
リフォーム工事に問題があったのか、それともそれ以前から問題を抱えていたのか。
特に雨漏りが工事後数年経ってから発生した場合は、どこに問題があったのか証明するのが非常に難しくなります。
それを判断するために必要となるのが、リフォーム前の図面や書類とリフォーム工事の内容が分かる図面などの資料です。
トラブルがあった場合対応できるように、こうした図面、書類は必ず手元に揃えておくようにしましょう。
3-2.リフォームに公的な保証期間はないが、民法上の瑕疵担保責任は問える
新築では基本構造部について10年間の瑕疵保証が業者に義務づけられていますが、リフォーム工事に建築関係法律上の公的な保証期間は残念ながらありません。
そのため、契約書や約款で個別に定めておくことが理想です。
しかし、業者との個別の取り決めがなくても、民法上の瑕疵担保責任は問うことができます。
責任の内容は以下の通りです。
修補義務 | 目的物に瑕疵があった場合、依頼者には修補請求権が認められます。しかし、その瑕疵が重要ではなく、修補に多額の費用がかかる場合は、修補は求められず、損害賠償を請求することになります。 |
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損害賠償 | 依頼者は修補の代わりに損害賠償を請求できます。修補をしてもなお損害がある場合は、修補と損害賠償の両方を請求できます。 |
契約解除 | 目的物の瑕疵が重大で、依頼者が目的を達成できないときは、契約を解除することができます。ただし、建物やその他の土地の工作物に関しては、請負契約を解除することはできません。 |
以上のように、リフォーム工事に問題があった場合は、修補か損害賠償を請求できます。
契約解除では、リフォームの場合、解除ができないように思えますが、増築や大規模な改修を除き、この制限規定には該当しないのが普通です。
3-3.リフォーム・増改築での欠陥と瑕疵の違いについて
ここで、「瑕疵担保責任」に使われている「瑕疵」という言葉について、詳しくみていきましょう。
昔ながらの「瑕疵」という言葉が持つ意味には「故意の手抜き」は含まれておらず、「努力してもやむを得ず起きる失敗や欠点」を指しているようです。
大工さんが誤って柱や床に傷をつけてしまった場合などは瑕疵と言えるでしょう。
対して「欠陥」とは、「故意であること、明らかに過失性の強い場合」を指していると考えられます。
注意したいのは、リフォーム会社にそれなりの施工基準がなければ、欠陥は瑕疵のレベルにもなりえる、ということです。
責任の所在や証明を追及する以前に、業者まかせの工事にせず、請負契約書を交わした上で信頼できる建築士に監理を依頼するのが安心でしょう。
民法では、第634条で請負人の瑕疵の規定が、第570条で売買の瑕疵の規定が記述されています。
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4.リフォーム.保証は個別に契約、業者選びは慎重に
民法上の瑕疵担保責任では、軽微なリフォームの場合は引越しから1年、増改築ではケースによって5年間(RC造などでは10年間)の権利行使期間を定めています。
新築のように住宅性能表示制度や住宅性能保証制度がなくても、これで安心できるような気にもなってきます。
しかし、新築のようにすべてのケースに対して明確な権利行使期間が定められているわけではありません。
工事に問題があった時にどう解決するかは、やはり契約書で取り決めをしておくのがベストです。
リフォームの工事保証期間は、公的な決まりがないので、リフォーム業者次第となります。
逆に言えば、工事保証は、リフォーム工事に対する業者の責任を投影したものともいえます。
新築と同様、一定の増築については10年間の工事保証をしている業者がある一方で、工事保証をしていない業者もあります。
リフォーム保証は業者の信用をはかる重要な要素です。
リフォーム時に業者と交わした契約書に保証基準や瑕疵担保責任期間が明記されているか、その内容をきちんと把握しておきましょう。
さらに、個別に契約書を取り交わしても、その業者が倒産してしまい、保証の意味がなくなってしまう可能性もないわけではありません。
その意味でも、リフォーム業者の選択は慎重に行いたいものです。
5.中古住宅を購入してリフォームした場合の保証
中古住宅を購入してリフォームする、あるいはリフォーム済の中古住宅を購入する場合は、(財)住宅保証機構による「既存住宅保証制度(旧・中古住宅保証制度)」が関係してきます。
この制度は、既存住宅の引渡し後、最長5年間にわたって瑕疵を保証してくれます。
ただし、対象となる住宅は、下記の条件を満たしたものです。
- 登録申請時点で新築後15年以内の戸建て住宅であること。新築後1年を経過していない住宅は、売主等が居住の用に供した住宅であること。
- 住宅性能保証制度、住宅性能表示制度、住宅金融公庫融資、建築基準法のうち、いずれかに基づく公的な中間検査が実施されているもの。
- 増改築工事が行われている場合、その部分が建物全体の延べ床面積の過半を超えていないもの。
- 登録申請時(所有権移転前に限る)に、機構の定める既存住宅保証登録基準に適合したもの。
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6.リフォーム、トラブル相談に乗ってくれる機関
本来であれば、リフォーム前の状態もわかっている施工業者に再度工事を依頼できれば良いのですが、その業者自体に問題があると、関わるのも避けたいところです。
その場合、第三者機関に相談するのが良いでしょう。代表的な機関を次に紹介します。
トラブル相談を聞いてくれる三者機関
- 各都道府県の建築士会
- 各都道府県の建築士事務所協会
- (社)日本建築家協会
- (財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター
- 各都道府県の消費生活センター
- (社)全国消費生活相談員協会
- 各市町村の建築指導課
- 各市町村の建築相談
6-1.トラブルの回避をまず考える
トラブルが起こる原因の多くは、契約書をはじめとして設計図、仕様書などの書類がそろっていないケースがほとんどです。
また、建築主が保証を含めた工事の契約内容を把握できていない、というのも問題です。
まずトラブルが起きないように、リフォーム前に既存の家の調査をしっかりと行い、良い業者を吟味し、契約書をきちんと作成して目を通し、内容を理解して正しく契約を結ぶ、ということがリフォーム工事においてはとても大切なのです。
私の体験談
リフォーム工事を完成させ引き渡しのときは、お客様の喜ぶ顔が見られる、私たちにとっても最も疲れが癒される瞬間です。
しかしそこで問題が発生してしまうと、お客様の笑顔は一瞬で怒りに代わり、大金を支払ったのに満足な工事ができなかったという、不満の感情を持つようになってしまうのです。
これは当然の結果であり施工側のとしての責任が重大なものです。
このような問題を起こさないためには、工事契約書の内容をきちんと確認しておくことが重要です。
引き渡しの際には必ず細かなチェックを行いますから、契約書の内容を一つ一つ確認し、それぞれが契約通りに履行されているかを見ていきましょう。
つまり契約書を細く作ってくれない工務店は、信頼できないということです。
細かな契約書を作らないということは、引き渡しのチェックを少なくし、細部をごまかそうとしていることの表れです。
契約と工事の計画書がしっかりと作ってあれば、それだけでリフォームの成功は約束されたと言えるでしょう。
何事も後々の憂いをなくすには、事前の準備が重要です。
工事の途中から「この工事はチェックをしっかりしよう」と思うのではなく、契約を結ぶ段階で「工事はどのように完了するのか」と、聞いておくと良いでしょう。