目次
リフォームで必要な作業項目
①撤去
リフォームはたいていの場合、今使っている部分を他の使い方にしたり 、新たにスペースを追加したりして、現在の住まいの状況を変更することになります。
そのため、今ある部分を取り除き新しいものに変更する、または、今あるスペースに新しくスペースを追加するという場合には、既存の壁を取り除く必要があります。
また、2階に増築する場合は、屋根を撤去する必要も出てきます。
②残材処理
残材の処理とは、今後必要なくなるため撤去した物を、処分することを言います。
撤去した物の種類や量にもよりますが、原則として、撤去する物を今の家のスペースにそのまま残しておくわけにはいきません。
車を用意して、撤去物を運び出すことになります。
ポイント
撤去と残材処理は、まとめて一回で済ませる段取りを考えて、費用を削減しましょう。
撤去作業を繰り返すと、その度に運搬費や人件費が大きくなってしまうためです。
リフォーム工事の坪単価費用が新築と比べて2〜3倍と高くなるのは、撤去や残材処理というリフォームならではの作業が発生するからです。
③補修
不要なものを撤去した後は、その周辺をきれいに補修してから次の工事に移ります。わかりやすく、間仕切りを取り除く場合を例にとって考えましょう。
間仕切りは、床・壁・、井に接しています。間仕切りを撤去すると、床と壁、、井にも傷跡がつきます。
この傷跡を埋めることを補修と言いますが、間仕切りを取り除いた2部屋の傷跡の補修だけでは、うまくいかない場合も多くあります。
例えば、2部屋のカーペットや壁紙、天井の素材がそれぞれ異なる場合、傷跡の補修だけでは完了しません。
その2部屋がともに古い場合、壁紙やカーペットが汚れて変色している場合もあります。
この場合、傷跡だけに新しい補修素材を使うと、周辺の古い部分から浮いて目立ってしまいます。
そもそも、既存の素材と同じ壁紙やカーペットが、現在ではもう手に入らないかもしれません。
それぞれの部屋の状態がちぐはぐになってしまうため、結果的に、床や壁・、井を全て新しくし直さなければならない可能性が出てきます。
間仕切りを取る工事ひとつ見ても、リフォームの作業工程は意外とたくさんあるものなのです。
④補強
増築をする場合は、古い建物に新しい建物を追加する工事になります。
ひとつながりの一軒の家であるため、片方は古く弱っていて、もう片方は新しく丈夫だと言うのでは、バランスが取れなくなってしまいます。
例えば、築50年の建物を増築する場合、既存の建物と増築する新しい部分の強度は全く違います。
そのため、新しく増築した部分に既存の古い建物を合わせて、補強する必要があります。
補強とは
建物の構造体に関わる、主に土台や柱・梁といった、外からは見えない部分がメインになります。
既存の建物を補強しないと、増築をした新しい部分に比べて、既存部分だけが古いままとなり、何年かたつと傷みが大きくなります。
そのため、古い部分と新しく増築した部分に交互に手を入れていくというバランスの悪い補強になると、毎年手入れを繰り返さなければならなくなり手間がかかります。
増築において重要なのは、まず初めにこの補強をしっかりと行うことです。
また、増築部分は新しくきれいですが、既存部分は美しく見えず、増築部分とひとつながりなのに統一感がなくなってしまう恐れがあります。
建物全体のバランスにも配慮して、外壁は増築部分と既存部分を一緒に新しく仕上げるようにしましょう。
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まるごとリフォームはじっくり検討してからスタートしよう
設計図面を見てリフォーム後の生活をイメージする
リフォームでも家の新築でも、プランの検討にはじっくりと時間をかけましょう。
設備の故障など、リフォームの内容によっては修理を急ぐ場合もあると思います。
しかし、増築や設備機器の取り替え、収納スペースの検討など、お部屋そのものを改造するいろいろなプランは、家族全員でよく検討をした上でリフォームをスタートすることが必要です。
例えばキッチンの内部に戸棚を作りたい時は、家具の設計が完成したのを見てリフォームをすぐにスタートしてはいけません。
その理由は、もしキッチンの内部が狭いスペースだった場合、戸棚の扉は、両開き・片開きといった前に開く扉ではなく、引き戸にした方がスペースを使いやすいためです。
両開きや片開きにすると、扉を開く度に体を寄せてスペースを作らなければなりません。
注意ポイント
設計図面を見て、実際にそれを使うときの状態を想像して考えることが大切です。
そうすれば、リフォームの後に起こりうる問題にも、気づくことができるようになります。
また、リフォーム開始のGOサインを出すまでの間には、家族全員の意見を聞いてみることが必要です。
住宅リフォームは家族それぞれに視点もアイデアも違う
ひとつの例をご紹介します。
キッチンの家具増設を計画する時に、設計図が完成し、設計を依頼した娘さん本人が大満足で家族に説明をしました。
家族も全員が納得をして、リフォーム開始のGOサインを出す寸前のことです。お母さんが
と言ったのです。
娘さんは早速、リフォーム業者にこの点を相談しました。設計図面を担当したのは男性だったため、気がつかなかったとのこと。
「本当に良い勉強した」と、逆にリフォーム業者から感謝されたということです。その結果、キッチン家具のダイニング側はチークの面仕上げ、キッチン側はポリエステルの化粧合板で仕上げました。
キッチン側の汚れは、濡れた布で拭くこともできるし、洗剤をつけて拭くこともできます。
家族全員で納得してから改築リフォームをスタートしよう
これ以降、このリフォーム業者は、いろいろなお客様に同様の提案をして喜ばれたということです。
長い間キッチンに立ち続けているお母さんの意見がきっかけとなりました。
考えてみれば家族というものは、年齢や立場が違う人間の集まりなのです。リフォームを家族で相談することで、あらゆる角度からリフォームの検討ができます。
まずは最低限、家族全員の納得が得られるまで、リフォーム開始のGOサインを出さない。それぐらいの覚悟が必要です。
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高齢化社会時代には高齢者が住みやすい全面リフォームを
同時に、高齢者が快適に暮らせるよう考慮されたリフォームも多くなってきました。
中年を過ぎて身体が自由に動かなくなることに気づき、若い頃には気にならなかった住まいのいろいろなことが問題になってきます。
運動機能や視力の低下など、身体能力の衰える時期や程度には個人差がありますが、若い頃に比べて、身体の動きが次第に不自由になっていきます。
高齢者にとって危険な段差をリフォームで無くす
年を取ると足腰が弱くなるため、すり足歩行になります。
自分でちゃんと足を上げて歩いているつもりでも、実際にはわずか3〜5mmほどの段差や物につまずいて転倒することが起こります。
高齢者がいる家族は、住まいの床のレベルを平らにすることが大切です。段差のない、バリアフリーにするのです。
注意
この時、段差が少しなら大丈夫だからと考えるのはたいへん危険です。全く段差のない平面にするか、段差があるなら段差があることが認識できるよう、しっかりとした段差をつけてしまうことです。
そうすると高齢者自身が気をつけて通ることができますが、中途半端に低い段差が最も危険なのです。
調査によると、高齢者が上り下りに一番苦労するのは、玄関のたたきから玄関ホールの床面までの大きな段差だと言います。
昔の玄関は、たたきと玄関ホールの間に石が並べてあったり、もう一段つけてある場合がほとんどでした。
現代の玄関は昔と比べて面積が狭いため、段差をなだらかにするような配慮はなく、30cm前後の高さを一気に上り下りしなければなりません。
高齢者には優しくない玄関になっているのです。
この玄関への対策として、手すりをつける方法があります。高齢者が手すりにつかまって玄関を上り下りできるようにします。
玄関の隅にたたきからスロープをつけ、玄関ホールの床面まで段差なく歩けるようにするのが最も理想的です。
車椅子のことを考慮すると、出入り口には80〜85cmの適切な幅が必要です。出入り口に加えて、廊下にも車椅子の通れる幅が必要となります。
もし廊下が直線でなく曲がっている場合は、車椅子で直角の廊下を曲がる場合に、廊下の幅員は85cm以上必要です。
ただし,曲がり角に隅切りを設ければ、幅80cmの廊下であっても車椅子が曲がれます。さらに車椅子の場合は、出入り口の扉は、開くドアではなく引き戸が適切です。
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リフォーム計画で必要な、高齢者における寝室とトイレの関係
また、高齢者にとって寝室とトイレの関係は重要なものです。若いうちは就寝後にトイレに起きることがそれほどないでしょう。
しかし年を重ねるごとに、夜半にトイレに起きる回数は多くなっていきます。
高齢者の寝室とトイレの関係について、以前ある研究会でさまざまな意見交換をしました。その中で最も印象に残った意見は、
トイレが寝室の内部にあることが高齢者にとって最良のリフォームプラン
だということです。
先日も、ある高齢者が就寝中にトイレに行きたくなりましたがトイレに間に合わず、結局、浴室の排水溝の上で用を足し、水道水でタイルを洗いました。
しかしその水を止め忘れてしまうということが起こりました。その高齢者のお家のトイレは寝室とたいへん離れており、トイレに行くまでは2回曲がらなければならない、複雑な動線でした。
トイレは毎日使う場所です。特に高齢者の寝室とトイレの距離は最短距離が望ましく、トイレまで安全に歩いていけるよう、常夜灯となるフットライトを設置して常に足元を照らしてあげることがとても重要です。
では、TOTO発行によるリモデル読本(シルバー編)を参考に、高齢者が使う水まわり(トイレ・洗面・浴室)で確認すべきポイントをご紹介します。
高齢者に適した水まわりのポイントを改装リフォーム前にチェック
トイレリフォームのポイント
出入り
- 出入り 扉を引き戸か外開きにする
- 扉の隣に縦の手すりを設ける(身体を支える)
- レバー式のドアノブにする(少ない力で開閉できる)
- 外から開錠可能にする(緊急時)
- 入口に段差を作らない
便器への移動
- 手すりの設置(着座時や使用後の身体を支える)
- 介護者も動けるスペースを作る
- 腰掛便器で座りやすくする
- 便器が冷えないようにする
使用中
- 手すりの設置(便器着座時に使用)
- 温水洗浄便座で使用後の処理を楽にする
- 紙巻器、温水洗浄便座のリモコンを手の届く場所に設置する
- 冬でも足元が冷えないようにする
トイレでもし高齢者が倒れてしまった場合に、外開き扉か引き戸なら、扉を簡単に開けられるため安心です。
内開きの扉だと、せっかく手すりを取り付けたのに使えなくなってしまいます。
洗面所リフォームのポイント
出入り
- 段差を余分に作らない
- 車椅子が通れる間口の広さを確保する
- 車椅子の回転スペースを作る
手洗い、洗顔
- 車椅子や椅子に座って洗面台を使える高さにする
- 車椅子や椅子に座って洗面ボウル下に足を収められるスペースを作る
- レバー式水栓金具にする(少ない力で動かせる)
整髪、整容
- 鏡の高さを車椅子や椅子から見える位置にする
- 備品を置くスペースを取る(洗髪や染めものなど)
衣類の着脱
脱衣所に暖房設備を設置(脱衣所と洗面所が兼用の場合、洗面所にも必要なポイント)
浴室
出入り
- 扉は引き戸か折り戸にする
- 開閉が楽な取っ手を選ぶ
- 外から扉が開けられるようにする(緊急時)
- 脱衣所との段差を作らない
- 脱衣所にお湯が侵入しないようにする
洗い場
- 手すりの設置(動作中に身体を支える)
- 水栓金具は温度調節が簡単にできるものにする
- 滑りにくい床材を選ぶ
浴槽への出入り
- 浴槽をまたぎやすい高さにする
- 浴槽の縁に腰掛けスペースを作る
- 手すりの設置(浴槽への出入り時に身体を支える)
- 座った時に、浴槽内の壁に足が届くようにする
- 浴槽にハンドクリップを設置(入浴中の身体安定)
高齢者が安心して入浴できるよう、周囲みんなで安全性に配慮をする必要があります。
本来入浴は、高齢者が最もゆったりとくつろげる時間なのです。最近では、高齢者が浴室で使うために便利な器具が、たくさん手に入れることができるようになりました。
それらを専門に展示する公の場もできた上に、デパートなどでも商品が取り扱われるようになっています。
ポイント
高齢化社会において、高齢者が安心して快適に暮らせるリフォームをすることは重要です。
また、今は若い世代でも、長く暮らすうちに住まいとともに皆必ず年を取ります。
将来の暮らしやすさも見据えて、間取りや段差など細かな部分まで配慮したリフォーム計画を立てましょう。