目次
住まいは入居してから年々傷んでいく
住まいは新築が完成して入居した時から、年々傷んでいくものと認識する必要があります。
住まいの傷みとしてまず挙げられるのは、 年数を経て、物理的に状態が悪くなることです。
壁紙や床材など内装の仕上げ素材の汚れや傷、キッチンや冷暖房といった設備機器の故障などです。
住まいにおける傷みとは、それだけではありません。入居から年月を重ねると、家族のライフスタイルと合わなくなることが出てきます。
また一般的に、住み始めればどこのお家でもいつのまにか物が増えてしまいますよね。洋服や食器、書籍などがその代表的なものです。
そのため、入居してさほど年数のたたないうちに、収納スペースへの不満が生じてしまいます。
キッチンでは、冷蔵庫がどんどん大きなタイプに買い換えられ、他にもいろいろな新しい家電が増えます。
トイレや洗面といった水まわりは、設備が進歩し、洗浄乾燥機能付きトイレやバブルバスの浴槽なども登場しました。
設備業界で新しい機器が開発されれば、ユーザーには魅力です。それも十分にリフォームのきっかけとなるのです。
住まいも人間の身体と同様に、年を取ります。年を取れば、成人病の検診が必要になります。家の状態のチェックとお手入れが、まさにリフォーム計画の始まりと言えるのです。
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リフォームの前に住まいの健康診断チェックリスト
住まいの健康診断を、5年・10年・15年・25年に分けて、チェックリストをご紹介します。
各項目の末尾に、◎◯△の記号が入っています。◎は、日曜大工でも手直しできる。◯は 、専門業者に修繕を依頼する必要がある。
△は、さらに本格的なリフォーム工事となるため、リフォーム業者に依頼した方がいいという表示です。
この◎から△の意味を念頭に入れて住まいのチェックリストを見ると、入居から年月がたつほどに、△の本格的なリフォーム工事が必要な項目が増えてくることが分かります。
傷みの早期発見・早期対応 日頃のお手入れが必要な時期
5年目
一般的に傷みが出てくる場所
屋根
- 樋が部分的に外れる◎
- 樋の針金が破損する◎
- トタン屋根にサビが生じる◎(2階以上の屋根なら◯)
- 破風板の塗装の大部分がはがれる◯
- 太陽熱温水器のパイプ接合部の不具合◯
外壁
- モルタル塗装の表面に筋のような細いひびが走る◎
- サイディング表面の傷部分がサビに変化◎
開口部
- サッシのクレセントが固くなり閉めにくくなる◎
- 障子の反り◎
- 鉄製の門扉にサビが生じる◎
- 窓のコーナー部の汚れ◎
- ドアチェックや蝶番が固くなり動きが鈍くなる◎
- 金属製のベランダにサビが生じる◎
- 窓枠、戸袋の塗装のはがれ◯
- 基礎の表面に割れたようなひびが入る△
水まわり
- 浴室タイル目地の汚れ◎
- 浴室壁のカビ◯
- 浴室壁の塗装のはがれ◎
- 浴槽と壁のタイル接合部のパテがはがれる◎
- 浴槽内部の湯垢◎
- 水道蛇口の水漏れ◎
- ビニールタイルや長尺シートの部分的なはがれ◎
- タイルにひびが生じる◎
- 風呂釜が着火しにくくなる◯
居室
- 壁紙の汚れが多くなり、はがれる部分も出てくる◎
- カーペットの汚れの拡大◯
- 畳の日焼け、汚れの拡大◯
- 繊維壁の一部のはがれ◯
- 鴨居の下がり、障子がスムーズに動かなくなる◯
- ふすまの汚れ、破れ◯
お手入れをしていても、修繕の必要性が増える時期
5〜10年目
屋根
- セメント瓦の塗装の部分的なはがれ◯
- トタン屋根のサビた部分が広がる◯
- 瓦にずれが生じる◯
- 樋が曲がったり、破損したりする◯
- 太陽熱温水器の架台を支える瓦の破損△
外壁
- ガン吹き部分の色が取れる◯
- モルタル塗装のひびが増える◯
- 板張り外壁の腐食部分が広がる△
開口部
- 網戸の破れ、枠の変形が起こる◯
- バルコニー接合部分のゆるみ◯
- 木製網戸の敷居がすり減り溝が大きくなる◯
- 雨水による化粧張りフラッシュドア下部の傷み△
- 木製ぬれ縁の腐食が進む△
水まわり
- 汚水排水マスからの水の溢れ◎
- 排水溝の異音◯
- 便座がぐらつく、止め金の外れ◎
- トイレタンクから水が漏れる◯
- 洗濯機まわりの床の腐食が広がる△
居室
- 床と巾木の間にすき間ができる△
- 床が不安定になる△
設備が傷み、構造にも手入れが始まる時期
15年目
屋根
- スレート瓦の破損◯
- 樋の交換時期になる◯
- 日本瓦の面上が取れて落下する◯
- 破風板の表面がザラザラになり、雨水が侵入して軒天が腐食する△
- 軒天用の換気孔金網の腐食△
- 太陽熱温水器の交換時期になる△
外壁
- 板張り下部の腐食△
- 浴室まわりの柱根元の腐食△
- 浴室まわりの土台の腐食△
- 波板トタンが全面的にサビる△
- 彩色スレート外壁材に破損が生じる△
開口部
- 木製門扉が色形の変化により使用できなくなる△
- 木製の雨戸の破損◯
水まわり
- 小型湯沸器が交換時期になる◯
- ポリバスの傷や汚れの拡大、タイルのはがれ◯
- 台所の吊り戸棚の降下により戸が開閉しにくくなる◯
居室
- 和室の天井板の下がり△
- ピアノ下の床が荷重により沈む△
- カーペットの毛の外れや傷みが広がる◯
- 台所シンク裏側の板部分の腐食△
- 漆喰塗り壁のはがれや壊れの拡大◯
少規模修繕ではすまない 大きな改造が必要な時期
15〜25年目
屋根
- 瓦の破損が拡大し全体にずれが生じる△
- トタン屋根の消耗が大きくなり、塗替えで済まなくなる△
- 彩色スレート瓦の汚れの拡大、破損△
外壁
- 軒天のモルタル塗装のはがれ、腐食ラス地がむき出しになる△
- モルタル塗装外壁の破損が拡大し、補修が必要になる△
- 土台の腐食が広がる△
開口部
- 雨戸の動きが固くなる△
- 門柱の傾斜△
- ブロック塀の破損、全体も不安定になる△
- バルコニーのサビが拡大、手すりに破損が生じる△
- 鉄製フェンスのサビが全体化△
水まわり
- 15〜25年目までに一回も補修や設備交換、改造をしていない部分は全般見直しが必要。手を入れる時期△
居室
- 床の根太が落下し不安定になる△
- 和室の木部分の汚れ拡大△
※このほか内装など一回も手入れをしていない場合は、全室の全般を見直す必要があります。
住まいの健康診断と、その後のお手入れも大切
一般的に、住宅の寿命は木造在来工法で約25年が目安です。
これらの住まいの健康診断の項目でも、25年を過ぎるともう建て替えを考えた方が良いということになります。
しかし、実際の住まいの寿命は、そこに住む人の過ごし方によって大きく異なってきます。
例えば、人が住んでいない住宅と住んでいる住宅では、家の傷み具合は全く違います。人が住んでいる方が、住宅は断然長持ちします。
さらに、そこに住む人が掃除好きだったりすると、定期的なお手入れにより、住宅はますます長持ちするのです。
掃除をするということは、 家の隅々まで常に目を配ることだからです。
家の隅々まで定期的に点検していると、住まいの傷み具合も、より早く見つけることができます。
しかし大切なのは、傷みを見つけた後なのです。いくら早く傷みを見つけたとしても、お手入れをせずに放置していれば、全く意味がありません。
その点で、欧米の主婦は実に気軽に、住まいのお手入れを行います。
例えば、椅子の生地の張替えやペンキの塗り替えなど、自分で簡単に行ってしまいます。ペンキの塗りむらができたり、椅子の張り布に打つ釘の間隔がバラバラになったりしてもいいのです。
とにかく新しいことに挑戦するのが、欧米の主婦です。
それに比べて、日本の主婦は、私は不器用だから専門家に補修してもらわなければと言いながら、いざ頼む時になると、このような少しの工事を頼むなんて申し訳ないからと躊躇してしまう傾向があるのです。
その結果、各所のお手入れが遅れてしまい、住まいの寿命を短くしてしまうことになるのです。
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自分でできる補修とできない補修がある
住み手の中には、日曜大工が得意な方や、趣味が高じて DIY などをプロ級にできる方もいるでしょう。しかし入居から年月が経つにつれて、素人の手に負えない補修もたくさん出てきます。
代表的なのは、設備や構造に関することです。塗装や貼ったりする作業でも、足場を組む必要がある場合など、補修の規模が広範にわたることもあります。高所など、作業をする人に危険が伴う場合も同じです。
日曜大工の技術が少しあるため、自分で補修できると思っていても、実際にその技術でうまくできるかどうか専門家に相談してみることも大切です。
誠実で良心的な専門家なら、例えば、この床の補修は素人でもできるが、これ以上の補修は専門家でないとできない、などと的確に判断をしてくれるでしょう。
自分で補修をする場合のアドバイスもしてくれるかもしれません。
家のリフォームを検討するときは専門家に家の健康診断をしてもらおう
その健康診断のカルテをもとに、どこからリフォームの手をつけたらいいかを決めても遅くはありません。
住み手のほとんどは、リフォームをしようとしたとき、住まいの健康診断だけでは頼みづらいということが少なくありません。
なぜなら、専門家をわざわざ家に呼んで、長時間かけて診断の時間をとらせることに、悪いなと思ってしまうからです。
この悪いという感情は、健康診断を無料、もしくはサービスでやってもらおうと思っているために生じるものです。
健康診断を有料で頼んだほうがいいのは、お金を払って点検してもらうことで仕事としての依頼となり、悪いという感情を抱く必要がなくなるためです。
ポイント
住まいを快適で安全なものに保つには、費用がかかるのは当然のことです。対価を払って、専門家に厳しい目で住まいの状態を見てもらいましょう。
正しいお手入れや補修を速やかに行うと、住まいの寿命は確実に長くなります。
また、あわせてリフォームをするとしたら、その工事の期間はどれぐらいかかるのか、費用はいくらぐらい必要なのか、しっかりと見積もってもらいましょう。
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かかりつけの「住まいの主治医」を持とう
住まいも人間と同じ かかりつけが必要
人間にかかりつけのお医者さんがいるのと同じように、住宅にも、かかりつけの大工さん、つまり「住まいの主治医」がいれば、万が一いつ家の具合が悪くなっても、安心して診てもらうことができます。
昔は、その家を建ててくれた大工の棟梁が、暇があれば家に遊びに来て縁側に腰を下ろし、タバコを吸って談笑をするなどという光景をよく見かけました。
家の状態に何かあれば、ちょっとしたことならすぐ簡単に修理してくれたものです。
ある年の大雪の時、屋根に雪止めなどをつけていなかったため、翌日ものすごい勢いで雪が屋根から落下してしまいました。
すっかり雪が落ちた後、2〜3日して雨が降りました。その際、雨が樋に流れず、滝のように床に直接びしょびしょと流れてきたことに驚きました。
雨が止んだ後に樋を調べてみると、樋を支える金具の数が少なく、落下した雪の重みで、樋がすっかり曲がってしまっていたのです。
何でも相談できる大工さんが家の主治医に
私の家は、とある住宅メーカーに建ててもらいました。
アフターサービス部門に電話をすれば対応してくれるはずですが、依頼してもなかなか来てくれず、修理費用が高いのでは?などという意見が家族の中から出ました。
結局、どこの業者に修理を頼むか、なかなか決められない始末。
まず家の近くの板金屋さんに修理を頼むことになりましたが、今まで一度も頼ったことがないため、頼みづらいという結果になりました。
そのうち、以前、濡れ縁を作ってもらった近所の大工さんに頼めば、専門の職人さんを連れてきてくれるのではないかということになったのです。
思った通り、その大工さんは気軽に修理を引き受けてくれて、頼んだ後、最初の日曜日に、板金職人さんと一緒に我が家にやってきてくれました。
ふたりで屋根にはしごをかけて登り、現場を隅々まで調べて修理をしてくれました。
今までは大工仕事が中心のことばかりを頼んでいましたが、今回のことで家に関して何でも頼めるということがわかり、改めて、この近所の大工さんが我が家の主治医になったというわけです。