浴室や洗面所のリフォームは、家族のライフスタイルや目的、希望、将来も考慮したうえで工事内容を決めることが重要です。
特に、高齢者が利用する場合は、安全性や使い勝手に配慮が必要ですし、今だけではなく今後のことも考えて、設備・仕様を決める必要があります。
満足のいくリフォームにするためには、これらの考え方やリフォーム方法について把握することが大事です。
そこで今回は、浴室リフォームと洗面所リフォームの種類や特徴、メリット・デメリット、リフォームに関する考え方などについて紹介しています。
目次
1.浴室は「在来工法バス」「システムバス」の主に2つのタイプ
浴室リフォームの方法には、在来工法とシステムバスの2種類があります。
どちらの種類を選択するかで、デザインの自由度や予算、バリアフリー設計、設備、工期などが異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大事です。
ここでは、在来工法とシステムバスの特徴やメリット・デメリットについて紹介しています。
1-1.在来工法バスとは?特徴やメリット・デメリット
在来工法とは、日本で古くからおこなわれている浴室の建築方法のことで、依頼主の自由自在にオーダーメイドが可能です。
浴槽だけでなく、床材や壁材、水栓金具などの細かい部分に関しても、依頼主の希望通りの組み合わせで完成できます。
「お風呂の時間が好きなのでこだわりの空間にしたい」
「木のぬくもりを感じる温泉風のお風呂にしたい」
など、依頼主のこだわりを反映でき、リラックスできる空間にリフォームすることが可能です。
ただし、ある程度予算がかかり工期も長いなど、デメリットな点もあります。
昔の一戸建てやマンションは、在来工法の浴室がよく見られましたが、現在は建設が容易で工期も短いシステムバスが主流となっています。
リフォームで在来工法バスを採用すると、どのようなメリット・デメリットがあるのか確認していきましょう。
メリット1:こだわりの空間を実現できる
在来工法の最大のメリットが、こだわりの浴室空間を実現できることです。
浴槽の素材をヒノキにしたり、大きな窓を取り付けたり、壁と床にお気に入りのタイルを施したり、天井を高くしたりなど、予算の範囲内で自分たちの理想をカタチにできます。
どこの家庭にもない、完全オリジナルの浴室にできるため、毎日快適な入浴時間を過ごすことが可能です。
メリット2:自分たちに合ったバリアフリー対策ができる
浴室出入口の段差や滑りにくい床材、入りやすい浴槽の高さや転倒防止の手すりの高さなど、自分たちに合ったバリアフリー対策を施すことが可能です。
システムバスもバリアフリー対策が施されていますが、高齢者は身長や姿勢、身体の動作などが人それぞれ違うため、必ずしも自分に合ったバリアフリー対策とは言えません。
しかし、在来工法であれば、自分たちに合った安心・安全なバリアフリー対策ができます。
デメリット1:職人の手作業なため工期が長い
在来工法バスのデメリットの1つが、工期が長いことです。
しっかりとした防水処理が必要なため、さまざまな技術を持った職人による工事が必要となります。
手作業なので、完成するまでに3〜4週間かかるなど工期は長めです。そのため、リフォームする場合は一定期間自宅での入浴は諦めなければなりません。
デメリット2:システムバスより費用が高い
工期が長い理由同様、在来工法バスは多くの職人の手作業でつくるため、費用も高くつきます。
リフォーム内容や規模にもよりますが、在来工法にする場合は相応の予算が必要です。こだわりが強いほど、リフォーム費用が高くなる傾向があります。
このように、在来工法バスにすれば、こだわりをカタチにできる反面、工期や予算がかかります。
在来工法でリフォームする際は、これらを把握したうえで逆算してスケジュールや予算計画を立てなければなりません。
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2.システムバスとは?特徴やメリット・デメリット
システムバスは、「ユニットバス」とも呼ばれており、浴槽や壁、床や天井などを工場で生産して、現場で組み立て完成させているのが、在来工法バスとの大きな違いです。
ホテルのように浴槽+洗面台のセットを2点ユニット、浴槽+洗面台+トイレのセットを3点ユニットとも言います。
現在、マンションや一戸建てに採用されている浴室タイプのほとんどがシステムバスです。
工期が短いうえに価格も安く、さまざまな設備が採用されています。
「できるだけ早く新しい浴室にリフォームをしたい」
「掃除がしやすく漏水しないものにしたい」
「安い予算で抑え、他のことにお金を使いたい」
など、デザイン性や個性よりも、スピードや予算、性能を求める人におすすめのバスタイプです。
ただし、浴槽の形や壁や床の素材を変えることは難しく、デザインの自由度は下がります。
ここからは、システムバスの主なメリット・デメリットについて見ていきましょう。
メリット1:工期が短く費用が安い
システムバスにリフォームするメリットが、工期が短く費用が安いことです。
さまざまな技術を持った職人が手作業でつくる在来工法と違い、システムバスは工場でつくったものを現場で組み立てます。
そのため、工期は3〜4日と短く、人件費や材料費も安く抑えることが可能です。
リフォーム工事費用をできるだけ安く済ませたい高齢者の方も、安心して採用できます。
メリット2:掃除がしやすく漏水リスクも軽減
システムバスは浴槽の形状はシンプルですし、機能性が優れた床材や壁材を使用しています。
継ぎ目に汚れが溜まりにくいように設計されており、水はけも良いです。
防水性能も優れているため、漏水リスクもを軽減できます。
長く安心して使っていくことが可能です。
メリット3:バリアフリー設計も多い
システムバスは、規格化して大量生産するのが一般的です。
「大量生産だから細かい部分まで気が使われていないのでは?」
と心配になる人もいるかもしれませんが、段差のないフラットな出入口や滑りにくい床、手すりなど、バリアフリー設計も施されています。
また、追焚機能や浴室乾燥機なども付いており、快適に使用可能です。
デメリット1:自由度に限界がある
システムバスのデメリットの1つが、デザイン・設計に自由度がないことです。
たとえば、浴槽の高さや素材、床材や壁材、鏡の大きさや形状、窓の形状、カラーリングなどをオリジナルで変更することは、基本的にできません。
在来工法は自由度が高いですが、システムバスは自由度に限界があるため注意しましょう。
デメリット2:浴室スペースの形状や広さに制限がある
システムバスは規格化されているため、各製品の形状やサイズもある程度限られます。
そのため、自宅の浴室スペースが変わった形状をしている場合や狭い場合は、設置できる製品が制限されるのがデメリットです。
デメリット3:バリアフリーや設備設置で別途費用がかかる可能性
システムバスは、製品によってバリアフリーが施されていて、さまざまな設備が採用されています。
しかし、このような製品ばかりではありません。
手すりを付けたり、追焚機能や浴室乾燥機などを付けると別途費用がかかるケースもあります。
標準仕様では安くても
「いろいろと取り付けたら、いつの間にか高くなっていた。。」
と困ることもあるため注意が必要です。
3.高齢化対応のシステムバスは使い勝手がよく安心
高齢者の方が浴室リフォームをする場合は、安心で快適に使える高齢化対応のシステムバスがおすすめです。
通常のシステムバスと違い、高齢者が使いやすいような設計・仕様となっています。
と考えるかもしれませんが、今後を見据えてリフォームすることが大事です。
3-1.先のことも考えてリフォームをすることが大事
浴室リフォームは、2〜3年サイクルなど短い期間でやるものではありません。
そうそうリフォームする場所ではないからこそ、10年先あるいは15年先のことも考えてリフォーム工事をすることが大切です。
10年〜15年後には体のさまざまな機能も低下しているでしょうし、入浴するのがしんどく感じる可能性もあります。
滑りにくい床、ちょっとした浴槽の腰かけスペース、広いドア、大きく操作しやすいツマミ、転倒防止の手すりなど、今は大丈夫でもこれからのことを考えると、高齢者に優しい設計が施された浴室の方が安心です。
浴室リフォームをする際は、今だけのことではなく、先々のことも考えたうえで工事内容を決めるようにしましょう。
3-2.安心の機能が満載の高齢化対応システムバス
システムバスに浴室リフォームをする際は、高齢化対応の製品がおすすめです。
腰かけや滑りにくい床、手すり、洗面器台カウンターなど、バリアフリー設計で安心の機能がコンパクトにまとめられています。
ほとんどの場合サイズも選べるため、無理なくリフォームが可能です。
まずは、各メーカーの高齢化対応システムバスの設備や仕様をチェックしてみてください。
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4.洗面所はライフスタイルや目的を反映させてリフォームする
洗面所リフォームは、家族のライフスタイルや使用目的をしっかりと確認したうえでリフォームプランを立てることが大事です。
朝の身支度や入浴の際に使ったりするため、ライフスタイルや目的が反映されていないと、ストレスの原因となってしまいます。
ここでは、洗面所をリフォームする際に気をつけたいことや、2つのタイプのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
4-1.洗面所を、どのような目的で使うか十分に考えること
洗面所は、家庭によって使い方に違いが出やすい場所です。
- 脱衣所としても使いたい
- ランドリー室を一緒にしたい
- トイレと隣合わせにしたい
など、いろいろな考え方や使い方があるため、希望に合わせてリフォームをプランニングすることが大切です。
たとえば、浴室の横にして脱衣所も兼ねる場合は、タオルや下着などを入れる収納スペースも必要になります。
使い勝手のよい洗面所にするためにも、使用目的や使用時間帯、必要な機能や広さなどをしっかりと家族で話し合うようにしましょう。
以下は、業者との打ち合わせ前に決めておくとよい項目です。
- 洗面所の広さ
- 洗濯機を置くかどうか
- 洗面台はシャワー付きにするか
- 収納スペースの広さ
- 窓の配置
- 床や壁の素材
- 洗面ボウルの数
- 照明のタイプ
工事が始まって途中変更するのは難しいですし、できたとしても多額の費用がかかる可能性があります。
事前にしっかりと話し合いをして、納得するプランを立てましょう。
4-2.洗面所のタイプは大きく2種類
洗面所は、洗面や脱衣、ランドリーなども兼ね備えたスペースとして使用する「洗面・脱衣・ランドリータイプ」と、完全に洗面所が独立して設置してある「独立型洗面所」の大きく2タイプに分けられます。
それぞれのタイプで特徴や使い勝手が異なるため、どちらのタイプにするかは、家族の考え方や使い方によって決めるようにしましょう。
以下は、2タイプの主なメリット・デメリットです。
洗面・脱衣・ランドリータイプ | |
---|---|
メリット | 洗面所のスペースが広いため2人で使うこともできる |
脱衣や入浴、着替え、歯磨き、洗濯など動線が短く効率的 | |
デメリット | 入浴中に洗面所を使われると浴室から出られない |
独立型洗面所 | |
---|---|
メリット | 周りを気にせずじっくりと洗面所を使える |
入浴中に洗面所を使われて出られないということがない | |
デメリット | 家族の使用時間帯が重なると渋滞してしまう |
家族が多い場合や使用時間帯が重なりがちな家庭は、洗面・脱衣・ランドリータイプの方が使い勝手がよいでしょう。
逆に、家族の使用時間帯がバラバラな家庭は独立型洗面所にして、じっくりと整髪や化粧など身支度に集中できるようにすると使いやすいのではないでしょうか。
高齢者が安心して利用できるリフォームをするためにも、ライフスタイルや10年〜15年後のことも考えたうえで、プランニングするようにしましょう。
浴室も洗面所も毎日使う場所であり、使い勝手がよくないとストレスも溜まりますし、怪我の原因にもなります。
家族でしっかりと話し合い、業者と入念に打ち合わせをして、自分たちに合った浴室・洗面所リフォームをするようにしましょう。
私の体験談
お風呂というのは、家の中で一番リラックスできる場所ではないでしょうか。
疲れた身体を癒してくれ、明日への英気を養う場所になっています。
一方で実は、高齢者の方にとっては浴室というのは命に関わる自体を巻き起こす、大変気をつけなければいけないポイントです。
浴室はどうしても床が滑りやすくなっているため、足を滑らせて転倒する人は後を絶ちません。
そして最近ではヒートショック現象を起こし、冬場は急激な温度の変化によって、心臓麻痺などで命を失ってしまう人も毎年多く出ているのです。
私が営業としてリフォームに携わったご家庭の中でも、つるつるとした浴槽で足を滑らせてしまい、後頭部を打ったことで、入院しなくてはいけなかったというお客様がいらっしゃいました。
そこで最近見直されているのが、木造の浴室です。
木造であれば足元も滑りにくく、その自然の中にいるような雰囲気はユニットバスでは味わえないものがあります。
高齢の方が一緒に住まれているご家庭、もしくはご自分の年を取った時のことを考えるならば、そういった思い切った浴室リフォームをしても良いかもしれません。